2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 直 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (70222057)
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Keywords | 宇宙論 / 構造形成 / 初期天体形成 / 宇宙磁場 / 銀河間物質 / 宇宙再加熱 / 宇宙背景放射 |
Research Abstract |
本年度は、2008年度打ち上げ予定のPLANCK衛星によって、最初期の星形成のよって起きる宇宙再加熱過程についてどのような知見が得られるのか、銀河形成の理論モデルを用いて解析を行った。その結果、期待される宇宙マイクロ波背景放射の温度分布マップを作成した。このマップの統計的性質、特に揺らぎのガウス分布からのずれ、いわゆる非ガウス性について解析した。この結果は2007年12月14日から15日かけてパリ南大学天体物理学研究所で行われたPLANCK Working Gorup5研究会で報告した。 また、宇宙初期に生成される可能性のある、初期ブラックホール天体について、その蒸発が宇宙背景放射や宇宙再加熱などに与える影響について詳細に調べた。ブラックホールが蒸発する際に、光子を大量に放出する。この光子が背景放射に影響を与えるのである。詳細な理論的な予想をたて、実際の背景放射の観測と比較することで、宇宙初期に生み出されたブラックホールの数や密度揺らぎのパワースペクトルについて、これまでにない厳しい制限を課すことに成功した。 宇宙初期磁場の構造形成に対する影響などについても、その生成の物理過程を調べるとともに、継続して検討を行った。 さらに、構造形成によって生成される宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎ成分と、重力レンズ効果の相関について研究を進めた。両者の相関を取ることで、構造の形成の様子やダークエネルギーに対する制限がつけられる可能性があることを見つけたのである。
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Research Products
(4 results)