2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540276
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 直 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (70222057)
|
Keywords | 宇宙論 / 構造形成 / 初期天体形成 / 宇宙磁場 / 銀河間物質 / 宇宙再加熱 / 宇宙背景放射 |
Research Abstract |
本年度は、最初期の星形成によって起きる宇宙再加熱過程について、特に、銀河内ガスの電離状態がどのように進化していくのかについて、放射輸送方程式を解くことで、数値的に調べる研究を推進した。具体的には、中性水素のガスに囲まれた初期星が、紫外線を放射し、周囲のガスをイオン化していく過程と、引き続いて、星の寿命が尽きた後、水素原子が電子と再結合することによって、ガス雲が再び中性化していく過程を数値シミュレーションを用いて調べた。さらに、ガス雲に含まれる中性水素が放出する波長21cmの電波の強度を見積もり、将来の観測の予測を立てた。これは、2009年度にも本格運用が始まるオランダの電波観測プロジェクトLofarや、将来の国際共同プロジェクトSKAなどで重点的に観測される予定になっている。 また、構造形成に伴う熱的な過程についても研究を進めた。具体的には、銀河群が形成される際に、銀河間ガスが高温にイオン化される過程を調べ、そこで生じる高エネルギー電子によって、宇宙マイクロ波背景放射が叩かれることで生じる温度揺らぎ、いわゆるスニヤエフ・ゼルドヴィッチ効果についてその大きさを推定し、また、合わせて宇宙マイクロ波背景放射に生じるBモードと呼ばれるパターンの偏光成分の観測予測値を求めた。このBモードは、銀河間磁場の強度によってその生成量が変わるために、磁場のよい指標となりうる。これらの観測量は、今年打ち上げ予定のプランク衛星や、地上観測、さらには将来の偏光をターゲットにした衛星計画によって、測定される可能性がある。
|
Research Products
(3 results)