2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面上の希土類元素誘起一次元ナノ構造体の電子状態と相転移現象の研究
Project/Area Number |
17540288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一之 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70261542)
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Keywords | 低次元ナノ構造体 / 相転移現象 / 光電子分光 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 本年度はまず、Si(111)表面上に1原子層(ML)以下のユーロピウム(Eu)を吸着することによって形成する(擬)一次元ナノ構造体の表面原子構造と表面電子構造、ならびに吸着Euの価数を低速電子線回折と光電子分光を用いて調べた。その結果、Euの吸着量に依存して異なる(擬)一次元構造体が形成されることを明らかにした。Euの吸着量が1/6MLで擬一次元(3×2)構造体、0.3MLで(5×4)構造体が形成され、Euの吸着量を増やすと一次元(7×1)、(9×1)、(11×1)構造体を形成し、0.5MLで(2×1)構造体を形成した。これらの構造体のうち、もっとも小さい吸着量で形成される(3×2)構造体ともっとも大きい吸着量で形成される(2×1)構造体の電子状態を角度分解光電子分光により測定した。その結果、どちらの表面も半導体的な電子状態を有することと、(3×2)構造体の表面電子構造がSi(111)表面上に1/3MLのアルカリ金属を吸着させることによって形成される一次元(3×1)構造体と酷似していることをもとめた。また、(2×1)構造体の電子状態がSeiwatz構造をとるSi(111)-(2×1)清浄表面の電子状態と似ていることをもとめた。これらの結果とSi 2p内殻光電子分光の結果をもとに、Euによって誘起された(3×2)と(2×1)構造体の表面原子構造を議論するのみでなく、中間相である擬一次元(5×4)構造体の表面原子構造モデルを初めて提案した。Euの価数に関しては(3×2)、(5×4)と(2×1)構造体で+2であることをもとめた。また、来年度以降に予定している(擬)一次元ナノ構造体の表面原子構造を決定する手法としての光電子回折の有用性を調べるために、Ca吸着によって誘起された(擬)一次元ナノ構造体の原子構造を光電子回折で決定した。
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Research Products
(3 results)