2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540289
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
植 寛素 筑波大学, 名誉教授 (10132979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 英俊 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (00190702)
岡 邦彦 産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (10356678)
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Keywords | 量子常誘電体 / 電子格子相互作用 / パルス光伝導法 / ストリーミング伝導 / 強誘電性ソフトフォノン / 強誘電性微小領域 |
Research Abstract |
量子常誘電体KTaO_3およびSrTiO_3において,パルス光伝導法により光誘起伝導電子の非線形伝導現象を観測した。昨年度に、試料自身をブロッキング電極にする方法を考案して,これにより,誘電率の大きな試料に高電界をかけて光伝導を計測するのに成功し,磁気抵抗移動度は100K以下の低温で,従来の発表されているホール移動度と同様な値となることを見出した.長波長の光を用い試料内部に電子が一様に励起されるようにした測定で,4.2Kの低温で電界強度依存性を測定すると,比較的低電界に於いて非線形電気伝導が開始されるのが観測され、SrTiO_3においては,高電界において電子のドリフト速度が飽和して一定になり,ストリーミング伝導が起きることが分かった.このとき,電子の運動エネルギーを格子振動の周波数に対応させると,強誘電性ソフトフォノン周波数と一致することが分かった.一方,KTaO_3においてはドリフト速度の飽和は見られず,高電界になっても速度は増加し続けた.同じ量子常誘電体でも,電子と強誘電性ソフトフォノンの相互作用はSrTiO_3で大きく,KTaO_3で弱いと推定された.今年度はさらに一軸性応力下でパルス光伝導実験を行い,ソフトフォノン周波数がゼロに向けて減少すると,ストリーミング伝導開始電子エネルギーはゼロに向かうことを見出した.SrTiO_3では伝導電子は強誘電性ソフトフォノンと強く相互作用することの傍証が得られた. SrTiO_3について良質の単結晶作製をめざし,浮遊帯域法を試みたが,ベルヌーイ法による単結晶に比べエッチピット密度の小さな,大型の単結晶を作製できたが,現段階では磁気抵抗移動度はかえって小さい.ベルヌーイ法による結晶は,現在の市販品を1970年代に市販されていたものと比べると,強誘電性微小領域によるラマン散乱強度が小さくなっており,品質の改善がされていることが分かった.
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