2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミオン-ボゾン相互作用を通じた量子コヒーレント過程による固体表面構造操作
Project/Area Number |
17540299
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河合 伸 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (60204674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成清 修 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (60252631)
吉本 芳英 東京大学, 物性研究所, 助教 (80332584)
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Keywords | 操作トンネル顕微鏡 / 表面 / 構造 / 構造操作 / 散乱理論 / コヒーレント / ボゾン / フェルミオン |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡により半導体表面に注入された電子のヒーレンス長を量子散乱理論により求めた。コヒーレンス長が表面局在振動励起確率に支配されている場合の表式を世界で始めて求めた。この式は、ゲルマニューム表面での定在波観測結果を半定量的に再現する。エネルギー的に該当しない電子バンドのバーチャルプロセスによるエネルギー補正が重要であることを示した。量子コヒーレント過程による固体表面構造操作の到達距離を理論的に求める道が開けた。(河合、成清、吉本担当) シリコン表面で、観測される低速電子線回折による構造変化について量子散乱理論により求めた結果をもとに、時間分解モンテカルロシミュレーションを行った。低速電子線回折強度の時間依存性の減少レートを再現することができた。(河合担当) 固体表面、細胞分化系は、ともに複合対称性を持った系であり、その動的過程の理解は、本研究にとって重要である。このような観点から発生過程を経て幹細胞が分化する様子をイジング型の細胞間相互作用モデルを提案し、モンテカルロシミュレーションを行うことにより研究した。そこでは細胞分裂を繰り返すことにより系は積層し、固体表面と類似の現象が起こっている。エピジェネティック・ランドスケープを物理モデルに基づいて初めて構成した。タンパク質のフォールディング・ファネルに類似のポテンシャル構造を得た。(成清担当) 金属表面吸着系における自己組織化の機構の理解は、固体表面構造操作の研究を目的としている本研究において重要なものである。吉本は実験グループとの共同研究により窒素吸着Cu(001)表面に見られる自己組織化構造が酸素との共吸着によって変化する様子を研究した。酸素原子が窒素原子の島に取り込まれていることが解り、理論的に予測される酸素原子の吸着による表面歪みの変化が実験的に得られた自己組織化構造の変化を説明することが解った。(吉本担当)
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