2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法による貴金属ハライドにおける輸送現象とポテンシャルの決定-超イオン導電体及びイオン性液体の研究-
Project/Area Number |
17540304
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
松永 茂樹 Nagaoka National College of Technology, 一般教育科, 教授 (70321411)
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Keywords | 分子動力学 / シミュレーション / イオン結晶3元系 / イオン伝導度 / 溶融塩3元系 / 二体ポテンシャル / 融解前駆現象 / 誘電遮蔽 |
Research Abstract |
イオン性液体や固体電解質中のイオンの伝導度等の輸送現象の基礎的な研究は、燃料電池や電力貯蔵用のバッテリーの開発にとって有益であると考えられる。我々はこれまで溶融塩や固体電解質として用いられる超イオン導電体中のイオン伝導度について継続して考察してきた。これまでの我々の研究で、等価溶融塩2元系のイオン伝導度の比はそれぞれのイオンの質量の逆比に等しい、すなわちイオン伝導度の間にσ+/σ-=m-/m+の関係が成り立っているという事がシミュレーションによって見出され、理論的にも示された。また、溶融塩3元系中のイオン伝導度の比も温度にかかわらず一定となることが、分子動力学シミュレーションによって確かめられた。 これらの研究を踏まえて、我々は等価溶融塩混合系NaCl-KClの伝導度の理論的考察と分子動力学シミュレーションを行い、これらの結果が良く一致することを確認した。次にAgCl系、およびKCl系における融解直前の結晶の様子を理論と分子動力学シミュレーションで考察した。熱力学および伝導度から推定された結晶中の液体様クラスターのサイズは分子動力学シミュレーションの結果と良く一致した。さらにAgBr-CuBr系の超イオン導電相において分子動力学シミュレーションを行い、超イオン導電相におけるイオン分布を調べた。Ag或いはCuイオンだけを含む超イオン導伝体では陽イオンは主に4面体12d位置に分布するが、AgとCuが共存する超イオン導伝体の分子動力学シミュレーションの結果では4面体12d位置だけではなく、8面体6b位置にも分布しその割合は銀イオンの増加とともに増える傾向があることが示唆された。さらに銀ハライド混合系の分子動力学シミュレーションを行い、得られた光学的性質において、イオンの振動数がTHz領域にピークを持つことが示された。
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Research Products
(10 results)