2006 Fiscal Year Annual Research Report
イットリウム系銅酸化物超伝導体における不均一電子状態中の隠れた秩序
Project/Area Number |
17540312
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西嵜 照和 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90261510)
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Keywords | 銅酸化物超伝導体 / 走査トンネル顕微分光 / ナノ電子状態 / 隠れた秩序 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の超伝導が発現する過程のアンダードープ領域において観測される擬ギャップ状態,電子秩序状態を明らかにするために,酸化物超伝導体の典型的な物質YBa_2Cu_3O_yのアンダードープ最表面の走査トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)を行った.YBa_2Cu_3O_y単結晶の劈開面はBaO面とCuO鎖面で構成され,BaO面には直下に存在するアンダードープ的なCuO_2面の情報が重畳した振る舞いが観測される.高バイアスから低バイアス領域までの系統的なSTM測定の結果,高バイアスではBaとOから構成される原子面のみがSTM像として観測されるが,10mV以下の低バイアス領域では,Cu-Oの結合方向に変調構造が現れることが分かった.CuO_2面の電子状態を反映したこの変調構造は1次元性が比較的強く,3〜4格子定数程度の間隔で存在するが,その配列は周期的ではなく乱れた配置をとっている.酸化物高温超伝導体における電子秩序状態は,Bi_2Sr_2CaCu_2O_yやCa_<2-x>Na_xCuO_2Cl_2では〜4a×4aのチェッカーボードパターンとして,La_<2-x>Sr_xCuO_yではストライプとして観測されるが,YBa_2Cu_3O_yでは何らかの理由で長距離秩序を持たず,乱れた状態で安定化していると考えられる.ZnやNi不純物を置換したYBa_2Cu_3O_yにおいても類似した1次元的変調構造が現れることから,高温超伝導体に存在する隠れた秩序状態がアンダードープと不純物置換によって引き起こされると考えられる.
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Research Products
(3 results)