2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
簑口 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10202350)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 量子固体 / 一次相転移 / 核形成 / He-4 / 核生成 / 4He |
Research Abstract |
報告者自身によって提案された「超流動He-4の過加圧下における固化の有効自由エネルギー」(2002年に出版)について、その改良を発見した。従来では、融解圧について設定された有効自由エネルギーWをグランドポテンシャルとみなしたが、その場合、融解圧以外への拡張はギブス-デュエム関係式を用いた間接的な拡張となり、融解圧「近傍」しか正しくなかったことがわかった。今回は、Wをギブス自由エネルギーと見なすことで、任意の圧力について記述できることがわかった。それにより、得られた超流体のロトンパラメータと圧縮率は、少なくとも測定された圧力範囲内では、実験値と大変良い一致を見る。この成果は、当年8月の低温国際会議(LT-24)で発表された(AIP Conference Proceedingsに出版予定)。 この有効自由エネルギーを用いて、過加圧下の固体核生成を計算することが出来る。臨界核の形と核生成のためのエネルギーバリアEbの計算を行った。特に、大きな過加圧の臨界核では、固液境界層が核の大きさに比べて無視できないほど大きくなり、いわゆる薄皮近似(thin wall model)による計算よりもEbは大きくなることがわかった。ただし、プレリミナリな計算では、Ebの大きさは、薄皮近似の高々数倍であり、Balibar-Caupin(BC)の実験(135barの過加圧で固体核生成が見つからなかった)は、おそらく説明できないであろう。ただ、 ・本結果は、過飽和古典液体において(密度汎関数理論によって)既に指摘されている同様のEbの増大とコンシステントであること(から、間違っている可能性は少ない)。 ・BCの実験では、彼らのその後の報告で、測定圧力そのものの疑問が述べられていること。 より、これからの進展が待たれる状況である。これらについて、18年3月末の年会で報告予定である。
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