2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン揺らぎ・電荷揺らぎ共存型強相関電子系における超伝導に関する理論的研究
Project/Area Number |
17540316
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
黒木 和彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10242091)
|
Keywords | Na_xCoO_2 / Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ> / 超伝導 / 磁性 / スピン揺らぎ / 電荷揺らぎ / フェルミ面 / バンド構造 |
Research Abstract |
(1)コバルト酸化物Na_xCoO_2の超伝導と磁性 コバルト酸化物Na_xCoO_2は大きな熱起電力、面内強磁性・面間反強磁性の3次元磁性を示す興味深い物質であるが、CoO_2面間に水分子を挿入することで超伝導にもなる。我々は昨年度、この超伝導の起源が特異なバンド構造から生まれるスピンの揺らぎと次近接相互作用に起因する電荷揺らぎが協力して生じるものであることを提案したが、.今年度は3次元模型を揺らぎ交換近似で扱い、この特異なバンド構造に起因するフェルミ面のネスティングが、水を挿入していない場合の3次元磁性の起源にもなっていることをつきとめた。この成果はPhysical Review Letters誌への掲載が決定している。 (2)Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>の超伝導機構 Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>の超伝導は通常の銅酸化物高温超伝導体のようにCuO_2の層状構造が起源ではなく、二重鎖構造が原因であると考えられている。我々はこの二重鎖構造のバンド構造を再現するようにホッピング積分を決めたハバード模型を揺らぎ交換近似、および量子モンテカルロ法で扱い、実験で得られているのと同程度の臨界温度を持っ超伝導が得られることを示した。電荷揺らぎを生じさせる第二隣接の相互作用も考慮した結果、この効果は1/4フィリング近傍で超伝導を抑制する効果があることがわかり、実験の相図との定量的な一致を得るのに必要な効果である。
|