2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540326
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
那須 三郎 大阪大学, 名誉教授 (00030057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
森本 正太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (80252633)
斎藤 直 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (50153812)
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Keywords | メスバウアー分光 / ナノ磁性 / 微粒子 / 放射光核共鳴散乱 / 位相変調 / アクチノイド化合物 / オキシ水酸化鉄 / L1_0規則合金FePt |
Research Abstract |
核ガンマ線の共鳴吸収として発見されたメスバウアー分光の物質科学への新しい展開を放射光の使用やナノメートルサイズのクラスター物性、UやNpで代表されるアクチノイド元素への展開などで行い、下記の成果を得、これらの成果を原著論文として発表すると共に国際会議で報告した。 ・面心正方晶L1_0規則合金FePt微粒子のメスバウアー分光 面心正方晶L1_0型規則合金FePtは極めて大きな磁気異方性エネルギーを有することが知られているが、この規則相であるFePt微粒子を作製すれば、微粒子磁石を作製した場合に生じる超常磁性現象をナノメートルサイズの微粒子にしても、回避することができる。規則相であるFePt合金を作るためには、不規則相である面心立方FePt合金を高温で焼鈍することが必要であり、微粒子は高温焼鈍では容易に焼結し粒子が粗大かするため、規則相のFePt合金微粒子の作製は極めて困難である。しかしながら、京大化研グループはSiO_2で被覆された6nmの面心立方FePt不規則合金を作製し、この微粒子を高温で焼鈍し、焼結による粒子サイズの増大が起こらないことを確認した。さらに、これらの微粒子は磁化測定から、大きな磁気ヒステリシスを示し、強磁性体であることを確認し、本研究課題での^<57>Feメスバウアー分光測定から面心正方晶L1_0型規則合金FePtであることを確認することができた。 ・^<181>Ta放射光核共鳴散乱による共鳴光子の位相変調測定 SPring8において^<181>Ta核の核共鳴散乱をエネルギー分解測定すなわちヘテロダイン方式を用いて成功しているが、その核共鳴散乱分光で得た共鳴光子の位相変調をくさび形のアクリル円板を高速回転させることによって観測することができた。位相の時間変化からアクリルの6.21keV光子に対する屈折率を(7.11±0.14)x10^<-6>と精密に決定できた。 ・アクチノイド化合物のメスバウアー分光による磁性研究 アクチノイド化合物はその5f電子の挙動から新奇な磁性や多極子秩序を示すが、これらの化合物中NpFeGa_5のいわゆる1-1-5化合物は低温で磁気秩序を示す。日本原子力研究開発機構および東北大学金属材料研究所に協力して、その微視的な磁性を^<57>Feメスバウアー分光測定から明らかにし、メスバウアー分光の応用に関する国際会議で報告した。 ・オキシ水酸化鉄のメスバウアー分光 鋼材上に生成される錆の重要成分はオキシ水酸化物であり、特に海浜橋梁ではβ-FeOOHが生成され特に重要である。^<57>Feメスバウアー分光測定からβ-FeOOHの微細構造およびCr^-イオンの存在状態を議論した。
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Research Products
(14 results)