2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶中に反転対称をもたないf電子系超伝導体の高圧NMRによる超伝導機構解明
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17540337
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小原 孝夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (70107986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 光一 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (20203440)
本山 岳 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (20360050)
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Keywords | 低温物性 / 超伝導機構 / 核磁気共鳴 / 強相関系 / 高圧物性 / 非BCS超伝導 / f電子系超伝導体 / 低温高圧NMR |
Research Abstract |
この課題では、結晶中に反転対称をもたない2種類の超伝導体CePt3SiとUIrを研究対象にしており、それぞれの試料について、試料の作成から電気抵抗、磁化率、比熱等による物質評価と構成核のNMRによる超伝導機構の解明をめざしている。前者については、組成比を変えた多くの試料作成の結果から化学量論比からわずかにはずれた1.01:3:1で溶解・熱処理するのが磁気的、超伝導特性の観点から一番良質の多結晶試料が得られることが分かった。また参照物質としてLaPt3Siを作成しマクロな物質評価以外にNMRによる磁気緩和率の温度変化の測定をおこなった。興味深いことにLa系は常磁性、常伝導状態ではCe系より緩和率が大きくなった。くわしい原因をバンド構造、超微細定数の大きさ等の観点から現在考察中である。また、超伝導転移温度の上下ではスピン帯磁率が磁場をC軸に平行、垂直方向に印可しても明確な温度変化がなかったので、奇のパリテイをもつp波超伝導の可能性を発行論文で示唆した。しかし、SiとPt核についての核磁気緩和率の温度変化の測定では、この系特有のコヒーレンス長が長いため超伝導転移温度直下での緩和率の増大および十分低温での温度変化の結論が明確に出せなかった。今後、磁場循環法や濃縮Siを用いてNMRの再試行をおこなう。一方後者のUIrでは、いくつかのルートをさがして濃縮193Irを入手することができ、それを用いて溶解もおこなった。すでに我々は他の強磁性金属にとかしたIrのNMR信号が観測できているので、UIrの強磁性状態(常圧)でのIr NMR信号を探索し、発見できればまず学術雑誌に投稿し、その後特別に設計したセルを用いた高圧下で電気抵抗、比熱の測定をおこない、キュリー点を下げた状態でもう一度NMR測定により内部磁場(Uの磁気モーメント)等の測定をおこなう。
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Research Products
(5 results)