2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540338
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
赤浜 裕一 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (90202522)
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Keywords | 固体酸素 / 構造解析 / 紫外分光 / 電子構造 / 分子磁性 / 分子クラスター / 高圧相 / 振動分光 |
Research Abstract |
[1]放射光を用いたX線回折実験:SPring-8の放射光を用いて固体酸素ε相及びζ相の粉末X線回折データを収集し、リートベルト法を用いて結晶構造解析を行った。その結果ε相の構造が酸素分子4個から成るクラスター:4(O_2)から形成していることを明らかにした。また、分子の配向状態や原子間距離等の構造パラメータの圧力依存性を100GPaまで求め、4(O_2)クラスターの安定性を明らかにした。ε相における4量体クラスター構造は我々が以前に報告しているラマンや赤外吸収分光の結果を矛盾なく説明した。このクラスター(O_8)の観測はオゾン(O_3)につぐ酸素の同素体の発見と言える。(研究発表論文参照)。クラスター内の新たな化学結合が酸素分子の磁性とも関連して注目を集めている。この成果を2006年ゴードン会議で報告しさらに記者発表した。また、酸素の高圧超臨界流体の粉末回折実験もひき続き行い、局所構造とその圧縮性に関するデータを収集でき、現在論文投稿準備中である。 [2]UVSOR吸収分光実験:分子研UVSOR光を用い、酸素の高圧凝集相の2分子吸収に注目して可視-紫外領域での2分子吸収スペクトルを収集し、この吸収バンドと吸収端の圧力依存性を求め、エネルギーギャップの詳細な圧力依存性とギャップに対応する価電子帯の電子状態の帰属を明らかにした。また、4(O_2)クラスターのラマンや赤外吸収分光測定を行い、振動解析からクラスターの結合状態に関する知見を得た。これらの結果を日本物理学会の分科会で報告し、また現在論文投稿準備中である。 [3]超高圧発生法の技術開発:固体酸素の200万気圧を超える超高圧下の構造研究と関連して、ダイヤモンドアンビルのラマン分光を使った圧力スケールの開発および超高圧発生法の技術開発を目的に単体標準物質である金属アルミニウム(Al)、リン(P)のX繰回折実験を行い、200GPa以上の圧力下で2つの新しい高圧相を発見したほか、ダイヤモンドラマン圧力ゲージを開発し論文発表した(研究発表論文参照)。
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Research Products
(6 results)