2005 Fiscal Year Annual Research Report
完全WKB法による量子不純物系および量子ブラウン運動の解析
Project/Area Number |
17540354
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 静岡大学, 理学部, 助教授 (40222062)
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Keywords | 量子不純系 / 完全WKB法 / 転送行列 / 量子スピン系 / 有限温度多点相関関数 |
Research Abstract |
量子不純系に対する厳密な解析の手始めとして、本年度はまず、Chaiho Rim (Chonbuk)およびZ.Bajnok (Budapest)と共同で境界磁場のあるスピン系にたいする関数等式による解析をおこなった。対応する転送行列のフュージョンを調べることにより、ある次元をもつ転送行列がバクスターのQ operatorにより完全に因子化してあらわせるが示された。これにより、境界磁場のあるスピン系さらには、attractive regimeとよばれるパラメーター領域でのディリクレk境界条件下でのサインゴルダン模型の有限サイズ効果が厳密に評価できることが示された。 この結果は国際会議「finite size technology II」(韓国)および「Recent Development in Quantum Integrable system」(Annecy France)で研究代表者によって発表され、論文は現在準備中である。 三角格子上の量子ブラウン運動はフックス型の3階の常微分方程式と密接な関係がある。そこで量子ブラウン運動の完全WKB法による解析の準備のため、国場敦夫氏、およびV.Bazhanov (ANU)とともにフックス型の3階の常微分方程式に対する完全WKB法による解析をおこなった。この結果、フックス型の3階の常微分方程式と高い対称性をもつW3共形場理論との間に隠れた対応があることが明らかになった。 これとは独立にR.Tateo (Torino)およびP.Dorey (Durham)とともに、アフィンリー代数に関係する高次の常微分・積分方程式系に対する完全WKB法による解析をおこなった。 これらに関しても現在論文を準備中である。 量子ブラウン運動において最も興味ある量は、多時間相関関数である。これ自体は非常に評価が難しい量であるので、その手がかりに、ヴッパタール大学のグループと共同で量子スピン系の有限温度多点相関関数に関する厳密な評価を行った。この結果、多重積分であらわされていた従来の結果が、具体的に近傍の点での相関関数の場合に一重積分の積に因子化することが示され、任意の温度での定量的評価が可能となった。この結果は論文にまとめられJSTATに掲載予定である。
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Research Products
(1 results)