2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブにおける潤滑と摩擦の素過程およびナノマシンの力学
Project/Area Number |
17540357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川口 高明 島根大学, 教育学部, 助教授 (10273913)
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Keywords | 摩擦 / ナノトライボロジー / 潤滑 / ナノシステム |
Research Abstract |
本年度は,ナノチューブ及び関連のナノ界面系のモデル構築と摩擦力の定式化,およびシミュレーターの構築を行った。各種のナノスケールでの原子操作に伴い発生する層の潤滑と層間の摩擦現象を計算機シミュレーションの方法で調べた。その詳細は以下のとおりである。 まず,考察の対象するナノシステムに対して,多層構造・対象性,原子間相互作用などを考慮し,層間における界面の原子スケールの挙動を記述する理論モデルを構築した。そして界面の凝着や表面の滑り運動を主に分子動力学的方法でシミュレーションできるプログラム開発を行った。ここで並行して,プログラム開発,シミュレーション実行,結果解析及び画像処理までを行うナノシステムのシミュレーターの構築も行った。このシミュレーションのためには,今回購入した並列計算機を重点的に利用した。このシミュレーターを用いて,上記のモデルをもとに,平衡状態または駆動外力下での非平衡状態の分子動力学シミュレーションを行うことで,潤滑ダイナミクスに関する詳細および摩擦力を中心とした摩擦現象を解析することが可能となった。 シミュレーションにおいては,最初に各種ナノ界面での最大静止摩擦力の解析を行った。特に,各操作における最大静止摩擦力強度を系統的に調べた。そして界面の凝着効果,構造的乱れ,弾性効果も考慮して,ナノシステムにおける極めて弱い静止摩擦力と比較的強い静止摩擦力の両方のケースについて,その物理機構等に関する素過程を明らかにした。次に,原子層が潤滑運動を行っている状態の動摩擦力を調べた。動摩擦の発生原因を界面や潤滑原子のダイナミクスからの知見をもとに,動摩擦力に滑り速度依存性が現れる物理機構およびエネルギー散逸過程を調べ,動摩擦の素過程について明らかにした。さらにモデルを一般化することで摩擦現象の物理機構の普遍的性質についても明らかにした。
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Research Products
(3 results)