2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブにおける潤滑と摩擦の素過程およびナノマシンの力学
Project/Area Number |
17540357
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川口 高明 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 准教授 (10273913)
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Keywords | 摩擦 / ナノシステム / 潤滑 |
Research Abstract |
ナノ材料界面系において現れる潤滑と摩擦の素過程及びナノマシンの基礎について,主に計算機シミュレーションの方法で調べた。ナノスケールで機械的な動作をするナノマシンの実現のためには,界面に方向性のある運動を発生させる事が必要である。さらに潤滑速度又は摩擦力の制御が可能となることも重要である。これらの点について,前年度の結果を受けて,統計物理学的視点から研究・考察した。 まず,ナノ界面において基板とその上に位置して相互作用をする原子層を対象とする物理系として考えた。これは一般性を持っており,各種ナノ材料,ナノプローブ及びマシン界面の重要な性質のいくつかを普遍的に記述することができる。そして,基板に対して界面に平行方向の振動と垂直方向の振動を与え,それによって原子層に直接的な外力が作用しない場合においても方向性のある潤滑運動が現れ得るかどうかを調べた。その結果,二つの振動の振幅と位相等に関する条件によっては,原子層にモードロッキング効果をともなった方向性をもつ潤滑運動が可能となることが明らかになった。そして,その原子レベルでの潤滑ダイナミクス,潤滑速度と界面パラメータの関係を解明した。次に,同様な物理系において,原子層で定義される平均原子間距離を,時間・空間的に変調を加えることによって外力を必要としない潤滑の可能性について調べた。その結果,変調及び界面のパラメータに複雑に依存するが,原子層に方向性のある潤滑運動が現れることを見出し,その発生条件及び動的特性を明らかにした。そして,この潤滑現象は,解析的な理論で発生原因を理解できることも分かった。また,この潤滑状態の外力作用に対する安定性及び界面の乱れに対する安定性が理解できた。これらの研究成果によって,ナノ界面駆動原理についての統計物理学的な理解が得られた。
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Research Products
(6 results)