2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540358
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂口 英継 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (90192591)
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Keywords | ソリトン / 非線形力学 |
Research Abstract |
アルカリ金属原子のボーズ-アインシュタイン凝縮体が発見され、コヒーレントな物質波が観測されるようになってきている。ボーズ-アインシュタイン凝縮体のダイナミクスは平均場近似では、Gross-Pitaevskii方程式あるいはポテンシャル中の非線形シュレディンガー方程式で表せる。ボーズ-アインシュタイン凝縮体の非線形現象としてソリトンや渦が実験でも観測されている。本研究では外部ポテンシャル項を持つ非線形シュレディンガー方程式を数値計算し、ソリトンや渦の動的な振る舞いを研究している。 今年度の研究で得られた結果としては 1.壁型のポテンシャルとソリトン、ダークソリトンおよび渦ソリトンとの衝突のシミュレーションを行った。運動エネルギーおよび壁の高さが低いときは、ソリトンなどの形状を維持したまま、反射や透過が起こる。壁の高さを変化させていくと透過から反射に変わる。その閾値は、古典粒子と見なした場合よりかなり減少する。ある種のトンネル効果がおこり、透過しやすくなったと解釈できる。また、この衝突実験から、ダークソリトンの有効質量を見積もると、単純に方程式から予測される値の2倍近くになることがわかった。また、渦ソリトンは非常に反射されにくいこともわかった。 2.2次元周期ポテンシャル中のソリトン格子や渦格子の振る舞いを調べた。ソリトンおよび渦を正方格子上に配置したときは、隣のソリトンとπ/2以上の位相差を付けるとソリトン格子が安定化し、逆に渦の場合は位相差がπ/2以下の場合に渦格子が安定化することを示した。また、渦同士に位相差を付けることにより、渦格子が渦度をもつスーパー渦状態が安定に存在することを示した。 3.非線形シュレディンガー方程式の非線形項の係数に空間的非一様性を導入した系のソリトンの振る舞いを調べた。空間的に一様な通常の2次元NLS方程式のソリトン解にはコラプスと呼ばれるソリトンの中心振幅が発散する現象があり、安定な2次元ソリトンは存在しないが、空間的非一様性を導入することにより、コラプスが抑えられ、安定な2次元ソリトンが得られることを示した。
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Research Products
(4 results)