2007 Fiscal Year Annual Research Report
メゾ系における非平衡状態の大域的性質に関する力学系の方法を用いた解析的研究
Project/Area Number |
17540365
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田崎 秀一 Waseda University, 理工学術院, 教授 (10260150)
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Keywords | C*代数 / 量子複合系 / スレイブ・ボソン法 / 間欠性カオス / 異常拡散 / 量子ゼノン制御 |
Research Abstract |
以下の成果を得た。(1)非双曲力学系の統計的性質:中立固定点を持ち、通常より遅い拡散を示す区分線形写像の輸送現象について調べた。これまでに、異常拡散が分布の時間発展演算子の1に近いスペクトル、特に第2リーマン面下にある"共鳴固有値"で特徴付けられることを明らかにしたが、今年度はスケール極限について詳細に調べ、スペクトルだけでなく固有関数のスペクトル依存性が重要なことを見出した。(2)C*力学系の非平衡統計力学:C*代数の方法で得られる非平衡アンサンブルと平均場近似を組み合わせ、非平衡パイエルス転移を調べた。これまでに非平衡性が相転移を大きく変え、負性抵抗が生じ得ることを示したが、秩序パラメータに関する自己無撞着方程式が数値計算に対して安定でないことが見出されていた。今年度は、この問題を解析的・数値的に詳しく吟味し、正確な相図を得ることに成功した。(3)量子開放系の粒子相関:近年、粒子線などを用いて、フェルミあるいはボーズ相関を直接観測できるようになっており、量子統計に対する粒子間相互作用の影響に関心が集まっている。このような系の状態が無限量子系の非平衡状態であることに着目し、熱的粒子源から放出された中性子のフェルミ相関を力学的に調べ、粒子源が無相関であっても有意なフェルミ相関が観測可能であることを示した。(4)特異連続状態と相互作用する不安定系の緩和:離散状態が連続状態と相互作用すると離散状態は不安定化する。これまでの研究で連続状態のエネルギースペクトルが特異連続の場合、スケーリング則が成立し、生存振幅がスケール時間のMittag-Leffler関数で表されることを見出した。今年度の研究により、この振舞が、共鳴エネルギーが連続状態の状態密度の発散点に一致する場合に見られる「2つの共鳴状態の生成」あるいは「共鳴状態と束縛状態の生成」により理解できることを突き止めた。
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[Journal Article] 12008
Author(s)
K.Yuasa, P.Facchi, H.Nakazato, I.Ohba, S.Pascazio, S.Tasaki
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Journal Title
Peer Reviewed
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