2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540382
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 秀紀 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60216546)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
北畑 裕之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20378532)
|
Keywords | 両親媒性分子膜 / リン脂質 / 巨大ベシクル / 剥離転移 / X線小角散乱 / 中性子スピンエコー / 異常膨潤 / 曲げ弾性係数 |
Research Abstract |
1)X線小角散乱実験により、静置水和法によって巨大ベシクルを作るときに予め塩や糖をリン脂質に加えると、ベシクル形成が促進されること、これは膜間の浸透圧により剥離相転移(unbinding transition)が起きているためであることを明らかにした。またこの剥離相転移が起きる濃度に近い量の塩を加えたリン脂質を水に溶解すると、2種類の周期の違うラメラ相が共存する「ラメラ-ラメラ相分離」が起きることを示した。これは、塩が分子の凝縮を進める「塩析」がラメラ相内で起きていて、塩濃度に分布が生じて2種類のラメラ相が共存する事が分かった。 2)リン脂質DMPCの液晶相/ゲル相の主転移点直上で見られる「異常膨潤」の現象の要因を調べるため、中性子スピンエコー法によりリン脂質膜の曲げ弾性係数の温度依存性を調べた。その結果、異常膨潤によりラメラの繰り返し周期が増大するとともに膜が堅くなるという結果が得られた。これは、これまで考えられていたような、膜の軟化により膜間の立体反発が強くなり、膜間距離が大きくなると言う描像とは反対の結果となっている。すなわちこの結果により、膜の静的な乱れが膜間距離の増大の原因になっている、と言う事が分かった。
|
Research Products
(14 results)