2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性を考慮した地震サイクルモデルによる南関東地域のプレート間巨大地震の解明
Project/Area Number |
17540390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 利典 千葉大学, 理学部, 教授 (70222015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 充宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00114645)
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Keywords | 地球変動予測 / 地震 / モデル化 / 防災 / 海成段丘 |
Research Abstract |
測量や段丘面高度のデータに、粘弾性媒質を用いた定常的地殻変動も考慮した物理的に妥当な地震サイクルモデルを適用し、南関東地域で発生する大正型、元禄型地震の震源断層域の特定をめざして平成17年度は以下のことを行った。 元禄型地震に関しては、房総半島南部での海成段丘面高度や地震時の離水、沈降のデータを収集した。その結果、元禄型地震は約2300年、大正型は約400年間隔で繰り返し発生していることが示された。次に、粘弾性媒質でのすべり応答のプログラムを整備し、地震サイクルモデルを定式化してプログラムの開発を行った。これには、元禄型と大正型の両方の地震が組み込まれている。このモデルとデータを用いて、まず、複数の段丘面高度の差による定常的隆起パターンの推定とモデルの比較を行った。その結果、隆起パターンが多少異なっているが、隆起速度は両者でほぼ同じであり、複数の段丘面高度の差から定常的な隆起運動を推定することが可能であることが示された。パターンの違いは、データでは房総半島南端で一番隆起するが、モデルでは半島東側に隆起が偏っているというもので、これは、プレート境界の形状の不正確さや、モデルの構造の不正確さなどが原因と考えられる。これらの点は、次年度以降で改善する予定である。次に段丘面高度から元禄型地震のすべり分布を求めるためのABICを用いたインバージョンのプログラムを開発した。現在解析中であるが、元禄型地震は半島南端で約20mのすべりがあるという結果が出ている。 大正型地震に関しては、測地測量のデータを用い、3次元プレート境界面形状を与えてインバージョンにより地震時のすべり分布を求めた。その結果、2つのすべりのピークが現れ、これまでの解析と調和的であることが示された。
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