2005 Fiscal Year Annual Research Report
統計モデルによる地震活動監視システム実用化への研究
Project/Area Number |
17540395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島崎 邦彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (50012951)
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Keywords | 地震活動 |
Research Abstract |
大地震発生前の地震活動の異常については、これまで様々な研究が行われてきたにもかかわらず、現実には、これらを事前に検知するシステムが実用化されて役立っている例はない。地震活動の最も顕著な統計的性質は、時・空間的に集中することであり、その分布はOgata(1998)の提唱したETASモデルによって表現される。すなわち地震活動は、独立な背景活動と、統計的に独立でない活動(余震)とからなる。これまで行われてきた地震活動の解析では、この両者を分離せずに扱うことが多く、異常活動を見逃したり、異常でない活動を異常と判断してきた可能性が高い。また分離する場合には、Reasenberg(1985)の除群法が広く使われているが、この手法は経験則に基づくもので、無理やり分離が行われることや、パラメターの設定に任意性があるなどの問題がある。本研究では、強度関数を用いた確率的分離を行い、客観性を担保した。すなわち、個々の地震については、それが統計的に独立な事象である確率と、独立でない事象である確率とを求める。例えば、独立な地震の個数のかわりに、独立な地震数の期待値(独立な事象である確率の総和)を用いれば、むりやり分離する必要はなく、客観的に解析することができる。本研究では、まず独立な背景活動の定量化を行うとともに、人工地震カタログに対して同じ解析手法を用いたシミュレーションを行い、比較した。その結果、異常な活発化がしばしば見られることがわかった。これは、本研究の手法の限界によるものか、或いは背景活動が一定ではないためかと考えられる。一方、異常な静穏化は偶然生じる程度の頻度でしか起らなかった。これらの結果を用いて、気象庁の一元化地震カタログの解析で現れる異常活動をまとめた。
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Research Products
(1 results)