2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 京都大学, 理学研究科, 助手 (00303800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 善紹 京都大学, 理学研究科, 助教授 (80222272)
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Keywords | マグマ / 水 / マントル / 臨界現象 / 構造解析 / 高圧力 / 高温度 / 放射光X線 |
Research Abstract |
地球内部の水は、いわゆる超臨界状態になっていて、その中に多くのケイ酸塩成分を溶かし込んでいる。その水の物性を理解するために以下の実験を行なった。 (1)放射光X線を用いた高温高圧ラジオグラフィーによる、マグマと水の間の第2臨界点の決定。三部賢治東京大学助手と神崎正美岡山大学助教授らと共同で行った私達の一連の実験によると、様々な岩石と水の間の不溶領域は2.5-4万気圧(GPa)で消失し、その圧力よりも深いところではマグマと水を区別できことが判明しつつある。この圧力条件では、これまでに以下のことが起こることが知られていた:(A)水に溶け込むケイ酸塩成分のマグネシウムとシリコンの比が急激に変化する。3万気圧(GPa)よりも低圧ではシリカに富んでいたのに、より高圧では1よりも高い。つまりは、マントルを構成する鉱物に近くなる。(B)水とマントル鉱物の化学組成が似ているので、水とマントル鉱物は濡れやすくなり、水が移動できるようになる。一連の実験についての報告は、アメリカ地球物理連合秋季大会で、三部賢治東京大学助手と川本が2つの講演を行った。従来までの想像を超える結果であったため、受け入れる研究者は少なかった。多くの質疑がなされたが、私たちはこの全く新しい手法によって得られた結果が正しいのではないかと感じている。なぜなら、私たちの提案する圧力は従来の古典的岩石学から予想される圧力値の半分であるが、実際の沈み込みたいの直下のスラブの深さに対応しているからである。現在、三部賢治東京大学助手が主著者として論文を投稿しているほか、2編の投稿を準備している。 (2)マントル構成鉱物と水の間での2面角の測定のための高温高圧実験を温度一定のもと1-5GPaの範囲で行なった。現在、実験生成物の組織を解析を試みているが、2面角の測定が想像以上に難しいことが判明した。次年度の宿題としたい。 (3)水の構造が圧力とともに変化している可能性が知られているが,私達はラマン分光法を用いて、高温度高圧力条件で水溶液をその場観察した。その結果、水において観察されたラマン周波数の圧力依存性の変化は、実験に用いた水溶液では観察されなかった。現在,追加実験をおこなっている。この実験結果については2006年7月の国際鉱物学会で、川本・熊谷で報告する。
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Research Products
(2 results)