2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540399
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
蜷川 清隆 岡山理科大学, 理学部, 教授 (80098590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西戸 裕嗣 岡山理科大学 (30140487)
豊田 新 岡山理科大学 (40207650)
|
Keywords | 衝撃変成 / インパクトクレーター / 熱ルミネッセンス / カソードルミネッセンス / ラマン分光 |
Research Abstract |
本研究では、隕石衝突により生じた鉱物中の各種衝撃変成組織を,カソードルミネッセンス(CL)などの分光学的手法を含めた物性科学学的な方法によって衝撃変成を定量的に評価することを目指している。 ドイツRiesクレーター内から採取した石英試料について、典型的な衝撃変成組織であるPDFsを対象にCL及び顕微ラマン分光法を用い、高倍率・高分解能のCL画像観察ならびに二次元ラマン画像解析を行った。CL画像において石英のバルク発光中に直線上の微細な暗線が認められ、これは光学顕微鏡下で観察されたPDFs組織に対応できた。結晶構造が衝撃波により周期性をもって破壊され、この部分は発光中心が解消されたためCL発光せずに暗線となって現れている。これは、ラマンスペクトル分析においても結晶構造の破壊を確認することができた。また、二次元ラマン画像においても、PDFsに対応した構造の結晶性低下を示す縞状の組織を検出できた。さらに、石英のCL発光の温度依存性を検討した結果、衝撃を受けていない石英は2段の温度消光過程を示すのに対して、Riesクレーター内の衝撃を受けている石英はほぼ1つの過程で進行することが確かめられた。これら消光過程の活性化エネルギーの定量的な評価にも成功した。この成果は現在、Scienceに投稿中である。 今年度も,Gucsik博士がハンガリーから来日し、上記CL特性および顕微ラマン分光測定に関して、討論・検討を行った。 また、宇宙航空研究開発機構において、2段式軽ガス銃により各種鉱物の衝撃実験を行った。昨年度は2.08km/secの条件で衝撃を加えたアルバイト試料から、熱ルミネッセンス(TL)強度が減衰する現象を見出した。しかし、新たな高温ピークの存在は確認できなかった。今年度は衝撃スピードを3.27-4.06km/secに上げ、Minas Gerais, Brazilのアルバイトについて衝撃実験を行い、TLでは300℃に新しいピークが、またCLスペクトル測定では380nm,550nmのピークは消滅し新たな500nmをピーク波長とする発光が認められた。ESR測定においてもg値がg=2.0003のシグナルが消え、新たにg=2.0041にシグナルが生じていた。これは、衝撃によってアルバイトの結晶構造や結晶場に変化をもたらしたと推察される。この成果は、日本地球惑星科学連合2007年大会に発表の予定である。
|
Research Products
(1 results)