2005 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込みプレート境界で発生するゆっくりすべりのモデル化
Project/Area Number |
17540401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
芝崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (20344012)
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Keywords | ゆっくりすべり / 沈み込みプレート境界 / 摩擦構成則 / カスケード / 南海トラフ |
Research Abstract |
最近の高精度地殻変動観測により、沈み込みプレート境界で様々なゆっくりすべりが発生することが明らかになった。これらのゆっくりすべりの発生様式は多様であるが、その発生間隔から短い時間間隔で発生するゆっくりすべりと長い時間間隔で発生するゆっくりすべりに分類される。例えば、カスケード地域や南海トラフの沈み込み帯深部で発生するゆっくりすべりは、発生間隔が数ヶ月から14ヶ月程度で、低周波微動を伴い10km/dayの速度で移動することが明らかになっている。本研究では、短い時間間隔で発生するゆっくりすべりのシミュレーションモデルを構築した。ゆっくりすべりのすべり量は小さく発生間隔が短いことから、摩擦構成則を規定する臨界相対変位量と有効圧が小さいと考えられる。有効圧を小さくするためには、間隙圧が高いと仮定する必要がある。摩擦構成則としては、状態変数に対してカットオフ速度を有する構成則を使用した。この構成則により、低すべり速度ではすべり速度弱化、高すべり速度ではすべり速度強化の挙動を再現することができる。カットオフ速度が3×10^<-7>m/s程度の場合、8km/dayで水平方向に伝播するゆっくりすべりを再現することができた。シミュレーションからすべり速度と伝播速度との間に比例関係があることがわかった。ある場所ですべりが生じている時間は数日間程度である。実際の観測では、ある場所における低周波微動の継続時間は数日間程度であり、シミュレーション結果におけるすべりの継続時間とほぼ一致する。低周波微動はゆっくりすべりにより励起されるイベントであることが示唆される。また、本震が開始する前に、ゆっくりすべりの振幅が大きくなり、発生間隔が短くなることがわかった。この他、ダイラタンシーによる間隙水圧の変動を考慮したモデルにより、ダイラタンシー係数を大きくとることでゆっくりすべりの再現を行った。
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Research Products
(1 results)