2006 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込みプレート境界で発生するゆっくりすべりのモデル化
Project/Area Number |
17540401
|
Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
芝崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (20344012)
|
Keywords | ゆっくりすべり / 沈み込みプレート境界 / 摩擦構成則 / カスケード / 南海トラフ |
Research Abstract |
Shibazaki and Shimamoto(2007、印刷中)は、遷移領域の摩擦挙動を考慮した構成則を用いたシミュレーションにより、短期的スロースリップイベントの再現に成功した。本年度はこのモデルを基に以下の研究成果を得た。 (A)南海トラフの沈み込み帯深部で発生するゆっくりすべりのモデル化 短期的スロースリップイベントの発生間隔は3-14ヶ月と多様である。西南日本では3-6ヶ月間隔で短期的スロースリップイベントが発生する。本研究では、有効圧と臨界すべり量をそれぞれ小さくすることで、短い間隔のイベントを再現することが可能であることを示した。また、有効圧を小さくすることで、伝播速度が大きくなることも示した。さらに最近の研究においては、短期的スロースリップイベントの伝播に伴い発生する深部超低周波地震が観測されている。この超低周波地震は、スロースリップイベントの伝播に伴い、局所的に強く固着した領域に応力が増大し臨界値に達して発生した高速すべりであると考えられる。そこで、局所的に臨界すべり量の小さな領域を設け、超低周波地震の再現を行った。スローイベントの伝播に伴い、臨界すべり量の小さな領域で高速破壊が間欠的に発生することが確かめられた。 (B)沈み込み帯深部における高間隙圧流体の挙動のモデル化 短い時間間隔で発生するゆっくりすべりを再現するためには、間隙圧が高いと仮定する必要がある。この仮定を検証するために、沈み込む帯深部における脱水反応による間隙圧の時間発展のモデル化を行う必要がある。本年度は、ダイラタンシーに伴う間隙圧の変動を考慮したゆっくりすべりの試験的なモデル化と一般座標系を用いた間隙圧時間発展のシミュレーションコードの開発を行った。
|
Research Products
(1 results)