2005 Fiscal Year Annual Research Report
南大西洋収束帯の構造と生成メカニズム-梅雨前線帯との対比の視点から-
Project/Area Number |
17540407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
児玉 安正 弘前大学, 理工学部, 助教授 (30205421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 洸三 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 特任研究員 (60292950)
吉兼 隆生 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (40392964)
佐藤 尚毅 (独)海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (90392935)
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Keywords | 南大西洋収束帯 / 亜熱帯収束帯 / 亜熱帯域の降水帯 / モンスーン / 梅雨前線帯 / SSTと降水活動 / 領域気候モデル / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
南大西洋収束帯(SACZ)は、南米大陸の東部から南大西洋にかけて夏季に発達する亜熱帯域の降水帯(亜熱帯収束帯)である。本研究の第一の目的は、数値モデル実験や気象・海洋のデータ解析により、SACZの形成機構や降雨特性を明らかにすることであるが、梅雨前線帯との対比を行い、梅雨前線帯も含む亜熱帯収束帯の形成メカニズムをより深く理解することも研究のねらいとしている。 平成17年度は、SACZについての過去の研究のレビューを行い、数値モデルを用いた研究に着手した。分担者の吉兼が梅雨前線帯などの亜熱帯域の降水帯の研究に用いてきた領域気候モデルに南米域の条件を取り入れて、数値実験を行った。モデルでは、SACZの総観規模的特徴が再現され、さらに地形に対する感度実験により、形成にはブラジル高原やアンデス山脈が不可欠であることが示された。また、全球大気大循環モデルによる気候再現実験データの解析を行った。CCSR/NIES/FRCGC大気大循環モデル(T106L56)に観測海面水温を与えた20世紀20年積分の出力値のうち、1985〜86年からの10年間について詳細に解析し、SACZの再現性と特徴を調べた。南米大陸の降水は、南半球の春季に赤道を横切る850hPa北風の増加と同時に増加し、南太平洋高気圧の北縁に大陸の降水域から南東に伸びるSACZが発現する。実験では、このような南米大陸の降水とSACZの季節進行が有意に再現されていた。また、モデル出力を用いてSACZと梅雨前線帯の違いを循環場や降水の変動特性について検討した。さらに、SACZと周囲の海面水温(SST)との関係を季節内変動の時間スケールで調べた。SACZの北東側に低SST域があり、SACZの降水活動とSSTに相関が見られる。低SST域では、海面付近の風速場において高気圧性の循環と発散があり、これらとSACZの降水活動との関係を季節内変動の時間スケールで検討した。
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