2007 Fiscal Year Annual Research Report
南大西洋収束帯の構造と生成メカニズム-梅雨前線帯との対比の視点から-
Project/Area Number |
17540407
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
児玉 安正 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30205421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 洸三 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 特任上席研究員 (60292950)
吉兼 隆生 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (40392964)
佐藤 尚毅 (独)海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (90392935)
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Keywords | 南大西洋収束帯 / 亜熱帯収束帯 / 亜熱帯前線帯 / モンスーン / 梅雨前線帯 / 大気大循環モデル / 領域大気モデル / 地形が降水に及ぼす効果 |
Research Abstract |
南大西洋収束帯(SACZ)は,南米大陸の東部から南大西洋にかけて亜熱帯域で夏季に発達する降水帯である。本研究は,数値モデル実験や気象・海洋のデータ解析により,SACZの構造や形成機構を明らかにすると共に,同じく亜熱帯域で発達する梅雨前線帯やその他の亜熱帯収束帯(STCZ)との対比を通じて,亜熱帯収束帯の形成メカニズムの理解を深めることを目的とする。 平成19年度は以下のような研究を行った。RAMS(領域大気モデル)を用いて,児玉と研究協力者の佐川(大学院生)と共に数値実験を行い,SACZにおよぼす地形の影響を調べた。海岸付近にある標高約1000mのブラジル高原が,周辺の降水を強めることで熱的な低気圧の生成を促し,その循環がSACZの下層収束を強めて,SACZのうち海岸部から南大西洋上の部分を強化することが示された。これは,他の亜熱帯収束帯に比べてSACZは位置の変化が小さく,ブラジル高原を通る場所で発達しやすいことを説明する。 CCSR/NIES/FRCGCの共同研究グループが開発した大気大循環モデルによる長期積分の出力値の解析が分担者の二宮によって行われた。モデル内ではSACZを含む主要な亜熱帯収束帯が再現された。海陸分布と各STCZの関係が議論された。SACZと南インド洋で発達するSICZは,その高緯度側の陸地の広がりが小さいため,夏季でも比較的大きな温度傾度(傾圧性)が保たれる。これに対して梅雨前線帯と北米でみられるNACZは高緯度の陸地の広がりが大きく,そこが夏季に昇温するために,温度傾度(傾圧性)は小さい。南太平洋に発達するSPCZは,大陸から離れた海洋上に発達するので,温度傾度(傾圧性)は極めて小さく,水蒸気前線としての特徴が著しいことが示された。
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