2005 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本のインバージョンテクトニクス:水平水歪の定量解析
Project/Area Number |
17540431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 比呂志 東京大学, 地震研究所, 教授 (00183385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 俊文 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50117694)
岩崎 貴哉 東京大学, 地震研究所, 教授 (70151719)
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Keywords | 反転テクトニクス / 地殻構造 / 反射法地震探査 / 活断層 / 水平歪 / 島弧 / 東北日本弧 / 新生代 |
Research Abstract |
東北日本の背弧域は日本海拡大に伴って伸張変形を被り、その後鮮新世以降、現在も短縮変形が進行している。本研究では主として反射法地震探査データを用いて、東北日本背弧域のバランス断面を作成し、定量的に中新世の伸張変形量とその後、現在にいたるまでの短縮変形量を明らかにすることを目的として研究を進めている。平成17年度は、岩手県の北上低地帯地域の地殻構造について、石油公団によって得られている反射法地震探査データや、平成15年に地震研究所が取得した、宮城県河南町の反射法地震探査データの再処理を行った。また、当該地域の活断層に伴う地殻変動を明らかにするための地形面の測量や、地表地質調査を行った。 反射法地震探査の再処理の結果、水沢地域では基本的には西側低下の正断層群が北上低地帯に伏在していることが明らかになった。地表地質・ボーリングデータの検討により、この正断層は20Maから15Maまで活動したもので、その一部は、鮮新世以降の圧縮変形により逆断層として再活動していることが実証された。この短縮変形に伴って、正断層がそのままインバージョンして逆断層性の活断層となっている場合や、リストリックな正断層形状の場合、地殻浅部では新たなより低角度の断層が形成されて、新たな逆断層(foot-wall short-cut thrust)を形成している場合も見られる。バランス断面法による復元により北上低地帯の範囲での、水平伸張量は4.2kmと算定され、その内の20%程度が短縮変形として反転している。 同様のテクトニクスは、2003年の宮城県北部地震の震源域でも見られ、バランス断面法による水平伸張量は12kmの測線中で3.1km、短縮量は0.7kmと算定された。現在、北上低地帯に見られる活断層は、基本的には中新世の正断層の再活動によって形成されている。
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