2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア極東に分布する海成三畳系の年代層序と生物相の精密解析
Project/Area Number |
17540447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
重田 康成 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究官 (30270408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 敏弘 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (70392537)
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Keywords | 三畳系 / ロシア極東 / 年代層序 / 生物多様性 / 絶滅と回復 / アンモナイト |
Research Abstract |
平成17年9月22日から10月13日まで、ロシア・プリモーリエ州南部地域で、三畳系の地質調査と岩石・化石試料の採集を行った。特に、三畳系が連続的に観察できるウスリー湾岸やアムール湾岸において、1/500精度でのルートマップと1/100精度での柱状図を作成し、岩相層序の観察や堆積相解析を行った。 その結果、これら三畳系は、分布域の東部では黒色の泥岩を主体とする沖合堆積物やスランプ堆積物、西部ではハンモック状斜交層理を主体とする浅海堆積物よりなることが明らかになった。また、含まれるアンモナイト化石から、これらの地層が三畳紀前期に対比されることがわかった。分布域の東部にみられる黒色泥岩中には大型化石や生痕化石が全く含まれておらず、おそらく貧酸素環境下で堆積したものと考えられる。一方、分布域の西部にみられる浅海堆積物中からはアンモナイト、二枚貝、リンギュラ、小型巻貝が多産する。特に、リンギュラや小型巻貝は、貧酸素や高塩分濃度、貧栄養などの特殊な環境下に出現するため、これら三畳系が堆積した浅海域が貧酸素水塊の影響を受けるなど通常とは異なる環境であった可能性が指摘できる。 今回の調査により、三畳紀前期の少し深い海は酸素欠乏のため生物が住めない環境であり、浅海域も通常とは異なる特殊な環境が支配的であった可能性が高いことが明らかになった。古環境の詳細については今後の研究で解明していきたい。なお、今回の調査の概要については、国立科学博物館ニュース第441号26〜29頁に紹介した。
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Research Products
(1 results)