Research Abstract |
動物相関連では,高橋と添田が,日本から産出しているマンモスゾウ12標本のうち,9標本の放射性炭素年代測定を試みた.その結果,すでに年代が測定されていた標本のデーターを総合すると,日本産マンモスゾウの年代は45,110±480〜16,320±90yrBP(補正年代値)であることがわかった. 植物相関連では,特にMIS 3の時代の試料の充実を目的とし,研究協力者の五十嵐と出穂が作業を分担・実施した.今年度は計4回の野外調査を実施し,5地点で花粉分析試料を採取した.採取場所(試料数)は,(1)北海道湧別町東芭露ナウマンゾウ化石地点(大雪御鉢平テフラ上・下位;10件),(2)北海道下川町粘土の沢遺跡(2件),(3)北海道厚真町上幌内モイ遺跡(恵庭aテフラ上位・下位;5件),(4)北海道上川町大函大雪御鉢平テフラ模式露頭(大雪御鉢平テフラ下位;1件),および(5)北海道富良野市東麓郷1遺跡(14件)である.そのうち(1)と(2)について,実験室で試料の前処理をおこない,(1)の花粉化石の同定とダイアグラム作成が完了した. 考古関連では,北海道と東シベリアの旧石器遺跡を対象として検討をおこなった.北海道の旧石器については,出穂が担当し,既存の遺跡の地質編年を実施し,あわせてMIS 3に遡る可能性を持つ遺跡の試掘調査と分布調査を実施した.東シベリアのMIS 3の時代の旧石器遺跡であるカーメンカ遺跡,ホティク遺跡,トルバガ遺跡,ストゥデョノエ遺跡,ウスチメンザ遺跡等の資料を観察し,年代測定用化石試料8件を採取した. これらの成果を地質学的に対比するため,テフラの検討をおこなった.>30kaに年代づけられる大雪御鉢平テフラの年代と分布を検討するために,野外調査は6回実施し,実験室では屈折率測定,EPMA分析を実施した.
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