2005 Fiscal Year Annual Research Report
粉末X線回折と並列計算機による結晶構造解析法の研究
Project/Area Number |
17540449
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 裕行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70157436)
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Keywords | 粉末X線回折 / 結晶構造解析 / 指数付け / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
鉱物や無機物質の結晶構造を粉末X線回折パターンを基に決定するためには (1)回折データに指数付けし、結晶系、空間群を推定する (2)概略の原子座標を決定する(構造モデル作成) (3)構造精密化を行う(リートベルト解析) のプロセスが必要となる。今回の研究対象は(1)と(2)の分野であり、本年はこのうち特に(1)について検討した。研究したアルゴリズムは乱数でa, b, c,α,β,γの格子定数をつくり、その定数で測定回折線に指数を配当することができる時、その格子定数モデルを正しいものとして残すというものである。モデルの確からしさを表す指標として、測定ピークに対する(d_<obs>-d__<calc>)^2の和(R因子)が最小になるようにした時最も良い結果が得られた。この探索法は三斜晶系以外では正しい解を見つけてくるが、次のような問題点もある。 1)R因子の低い解が複数見つかる場合がある この場合は格子体積の小さく、歪みの少ないなものを選ぶ。 2)ローカルミニマムにトラップされてしまう場合 最も低いR因子を与える正しい解の範囲は非常に狭いのに対して、そこそこのR因子を与えるブロードなピークが多数存在する。探査の初期段階では為のピークだけが検出されるため、早い段階でランダムな探査を打ち切り、探査範囲を縮小すると真の解を見逃す場合が多い。従ってランダムな探査はある程度長時間続ける必要がある。一般的には3GHzのcpuで一晩走らせておけば、正しい解を見つけてくる。この方法は正しい解を得られるが、計算時間が膨大になるのが欠点である。しかしサイコロを繰り返し振るという単純作業の繰り返しなので、複数の計算機に仕事を割り振れば計算時間の向上が見込まれる。この目的のためシステム構築と、プログラム改良を進めている。コンピューターを夜間使っていない時にネットワーク化させて計算できるようなシステムを次年度以降に構築する。
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Research Products
(1 results)