2006 Fiscal Year Annual Research Report
スラブメルトとマントルかんらん岩の反応機構の解明:天然の岩石と高圧実験からの制約
Project/Area Number |
17540460
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
新正 裕尚 東京経済大学, 経営学部, 助教授 (60312013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折橋 裕二 東京大学, 地震研究所, 助手 (70313046)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70222354)
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Keywords | 微量元素 / ICP質量分析 / レーザーアブレーション / 分配係数 / 西南日本弧 / アンデス弧 |
Research Abstract |
前年度おこなった高温高圧実験の結果を適用するために,若いスラブが沈み込んだ地域に形成された火山岩について検討を行なった.具体的な対象は,(1)拡大直後の四国海盆沈み込みに関連して形成された西南日本の海溝寄り地域の中新世火成岩,(2)南米アンデス弧のなかでチリ海嶺の衝突域の北側に位置するSouthern Volcanic Zoneのフロント火山の岩石である. 西南日本の海溝寄り地域の中新世火成岩については代表者がここ数年,数多くの試料について全岩組成の分析を行なってきた.その結果,いわゆる瀬戸内火山岩と呼ばれる岩石群の中にざくろ石が安定な高圧下での融解によって形成されたと見られる重希土類元素に枯渇する珪長質火成岩が広域的に出現することを見出しており,そのような岩石の中から選別した試料について斑晶鉱物やアクセサリー鉱物の希土類元素を中心としたレーザーアブレーションICP-MSによる微小領域分析を継続中である.現在のところ,ジルコン・ざくろ石間の希土類分配についての結果を学術雑誌に投稿すべく準備している. Southern Volcanic Zoneのフロント火山の岩石については,ガラスビード法によるICP-MS分析を含めた幾つかの分析手法を組み合わせて45元素について全岩組成の分析を行なった.その結果,液相濃集元素の含有量等から,チリ海嶺から離れる方向,すなわち沈み込むスラブ年齢の古い方向へ,マグマソースへのスラブ由来流体成分が増大する可能性が得られた.この結果は地球惑星科学連合の2007年大会で講演予定であり,学術雑誌に投稿すべく準備している.また,Southern Volcanic Zoneの火山岩についても斑晶鉱物の微量元素組成の微小領域分析を行なうべく準備をしている.
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Research Products
(2 results)