2006 Fiscal Year Annual Research Report
北中国地塊における中生代火成活動の元素・Nd-Sr-Pb同位体地球化学
Project/Area Number |
17540461
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒川 洋二 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (00192469)
|
Keywords | 北中国地塊 / 中生代花崗岩 / 化学組成 / Nd-Sr-Pb同位体 / アルカリ火成岩 / 地殻-マントル構造 / 地球化学 / 年代測定 |
Research Abstract |
平成18年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1.北中国地塊北東部に位置するShandong半島周辺域の中生代火成岩類の分布や地質調査結果のまとめ(研究協力者Chen Bin氏と議論)。 2.中生代火成岩類(花崗岩類と火山岩類)(Chen Bin氏採取試料)の肉眼観察と、偏光顕微鏡による造岩鉱物の詳細な観察の実施。この観察結果で、多くの火成岩類は、アルカリ岩系列に区分できるが一部カルクアルカリ系列の花崗岩も含まれることが明らかとなった。 3.採取試料の蛍光X線分析装置による全岩化学組成(主要元素・微量元素組成)の測定(埼玉大学と北京大学の装置を利用)。主要元素組成からは,深成岩類の多くは、モンゾナイト、ショショナイトに分類され,一部カルクアルカリ質の花崗岩が含まれることが明らかとなった。微量元素組成の結果からは,一般に液相濃集元素にやや富んだ傾向を示し、またREE(希土類元素)パターンは、一部、正のEu異常が示され、分化したマグマであることが推定できた。 4.15-20試料について、Sr,Nd同位体組成の測定を行った。測定は筑波大学のFinnigan MAT262固体質料分析計を利用した。上記Sr,Nd同位体組成は,EM-1タイプのマントルと下部地殻との中間の値を示し、このことから、マントル由来のマグマと下部地殻との混合が示唆された。 5.また、昨年同様、比較のために北西中国の西ジュンガル帯の花崗岩類の元素組成やSr-Nd同位体組成も測定を行った。 今後の問題点としては、調査、分析を行った北中国地塊の北東部の白亜紀火成岩体の年代と種類の空間分布を詳細にまとめ、マグマ起源や、その活動の時空変化を推定する必要がある。また,研究のまとめに向かい、残りの試料の各種分析が必要である。
|