2007 Fiscal Year Annual Research Report
北中国地塊における中生代火成活動の元素・Nd-Sr-Pb同位体地球化学
Project/Area Number |
17540461
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒川 洋二 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00192469)
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Keywords | 北中国地塊 / 中生代火成岩類 / 化学組成 / Nd-Sr-Pb同位体 / アルカリ火成岩類 / 地殻-マントル構造 / 地球化学 |
Research Abstract |
今年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.北中国地塊南部に当たるWu'an, Xishu地域に分布する花崗岩類の年代測定結果や貫入関係などから、これらは白亜紀後期(約130Ma前後)に相次いで貫入したものであることがわかった。 2.上記の花崗岩類は、多くはアルカリ岩系列の岩石で、モンゾナイト、モンゾガブロ、閃長岩〜花崗岩に分類され、それぞれ岩石タイプごとに異なった分布を示すことが明らかとなった。また、これらの岩石とともに、同時期の火山岩類も分布し、それらもアルカリ岩系列の岩石であることが判明した。 3.蛍光X線分析装置による全岩化学組成(主要元素、微量元素)とICP-MSによる微量元素の分析結果から、Xishu, Wu'an両岩体は、ガブロ〜モンゾナイトの組成で、やや高いMg#、およびREEパターンからは小さな正のEuの異常があることが判明した。両岩体ともにSr同位体組成は類似し、0.7050〜0.7078の範囲に入るが、Nd同位体組成は、εNdがXishuでやや高い(-17〜-11)傾向が示された(Wu'anは-18〜-13)。またPb同位体組成にも違いがあることが明らかとなった。この結果は、両岩体を形成したマグマの起源物質の違いを示すが、Nd-Sr-Pb同位体図や、同位体一元素濃度図において、両岩体のデータは多くの場合直線状を示した。それらのデータはEM1マントルとLCC(下部大陸地殻)を端成分とする位置にプロットされ、この結果は両端成分を起源としたマグマの混合を示唆しているか、あるいはEM1マントル由来のマグマが結晶の分別を伴いながら、上昇し、下部地殻物質を混合したかのどちらかで説明が可能である。 4.同地域に含まれる幾つかの小岩体、および同時期の火山岩類の元素分析とNd-Sr-Pb同位体組成分析の結果も、上記結論と矛盾なく説明できることが明らかとなった。 5.以上の北中国地塊の南部における火成岩類の活動、形成は、すでに沈みこんでいた古太平洋プレートのスラブが関与し、大陸地塊内部における引張場におけるマグマ活動によりもたらされたものと結論付けられた。大陸下のマントルの溶融は、過去に沈み込んだスラブからの流体が関与していたものと推定される。これらの活動は、大陸内におけるリソスフェアの薄層化(lithosphere thining)と関連して生じていったものと推測される。 6.この研究は、大陸下のマントルや地殻の化学組成、同位体組成の不均一性と、それに基づくマグマ活動の性質の違い、および大陸内における地殻-マントルの変動形態を関連付けて議論したものである。
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[Journal Article] Allanites as an indicator of origin and tectonic setting for granitic rocks, Japan: implications for fractionation in manganese and rare earth elements, and for Sr-Nd isotope compositions.2007
Author(s)
Hoshino, M., Kimata, M., Arakawa, Y., Nishida, N. and Shimizu, M.
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Journal Title
Canadian Mineralogist 45
Pages: 1329-1336
Peer Reviewed
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