2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間における水和イオンのミクロ構造に関する研究
Project/Area Number |
17550023
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 敏男 福岡大学, 理学部, 教授 (70158111)
|
Keywords | ナノ空間 / 水和イオン / 水和構造 / X線・中性子散乱 / 界面 / 水の構造 / メソ細孔 / 拡散係数 |
Research Abstract |
細孔径が均一で親水性界面をもつMCM-41中に閉じ込めた液体や電解質水溶液の構造とダイナミクスをin situ FTIR, X線回折、中性子準弾性散乱により明らかにした。 (1)MCM-41 C10(細孔径21Å), C14(28Å), C18(37Å)中に単層およびキャピラリー凝縮状態で閉じ込めたメタノールの構造を明らかにした。MCM-41界面に吸着したメタノールは表面水酸基(シラノール基)と強い水素結合を形成し、その結合距離は2.6Åであり、温度変化は受けない。キャピラリー凝縮したメタノールはバルクと同様な鎖状水素結合を形成しているが、バルクに比べて水素結合ネットワークは歪んでいる。 (2)MCM-41メソ細孔や五酸化バナジウム層構造中にキャピラリー凝縮状態で閉じ込めた水分子のダイナミクスを明らかにした。その結果、水の併進運動はバルクに比べて0.4〜0.6倍減少していることが明らかになった。 (3)MCM-41メソ細孔中に閉じ込めたアセトニトリルの構造とダイナミクスを明らかにした。非水素結合性アセトニトリル分子は表面水酸基と双極子-双極子相互作用により弱い結合をしており、N-0結合距離は3Åである。アセトニトリル分子の併進拡散は細孔径の減少とともに遅くなる。一方、回転拡散は細孔径の依存性がほとんど見られなかった。 (4)MCM-41,C10,C14,C18各細孔中に閉じ込めた硝酸カルシウム水溶液の構造を明らかにした。バルク溶液と比べて、細孔中ではバルク水の構造性が弱くなり、水和カルシウムイオンの構造性が増加することが明らかになった。カルシウムイオンの水和数は細孔径の小さいC10やC14細孔中では7〜7.5であり、バルク中の6より大きい。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Neutron scattering study on dynamics of water molecules confined in MCM-41.2005
Author(s)
Takahara, S., Kittaka, S., Mori, T, Kuroda, Y, Yamaguchi, T., Bellissent-Funel, M.-C.
-
Journal Title
Adsorption 11
Pages: 479-483
-
[Journal Article] Low temperature properties of acetonitrile confined in MCM-412005
Author(s)
Kittaka, S., Iwashita, T., Serizawa, A., Kranishi, M., Takahara, S., Kuroda, Y., Mori, T., Yamaguchi, T.
-
Journal Title
J Phys. Chem. B 109(49)
Pages: 23162-23169
-
[Journal Article] Collective dynamics of supercritical water2005
Author(s)
Yamaguchi, T., Yoshida, K., Yamamoto, N., Hosokawa, S., Inui, M., Baron, A.Q.R., Tsutsui, S.
-
Journal Title
J. Phys. Chem. Solids 66
Pages: 2246-2249