2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
LEE Vladimir 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90375410)
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Keywords | テトラシラシクロブタジエン / 遷移金属錯体 / ジゲルメン / フリーラジカル / 高周期14族元素 / ジアニオン |
Research Abstract |
高周期14族元素シクロブタジエンジアニオンを創製するための第一段階として、まずジハロシクロメタレンもしくはテトラハロシクロメタランのアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属による還元反応を系統的に研究した。この期間内の特筆すべき発展として、効率的なシクロブタジエンジアニオン高周期元素類縁体の合成法を確立したことを挙げる。環を構成する元素はケイ素、ゲルマニウム、スズである。今回合成に成功した全ての化合物の詳細な分子構造に関しては、分光学的手法およびX線結晶構造解析を用いて調べた。その結果、高周期14族元素シクロブタジエンジアニオンは非芳香族分子であり、芳香族性を示すことの知られている母体のシクロブタジエンジアニオンとは対照的であった。またこれらの観測結果は、理論計算によっても信頼性の高いレベルで再現されている。一方、アルカリ土類金属で還元した場合には、シクロブタジエンジアニオンではなく、ビシクロ[1.1.0]ブタン2,4-ジアニオン構造をした化合物が得られた。これらは高度に歪んだトリシクロ構造をしている。今回合成した化合物の化学的性質を調べてみると、炭素類縁体とは大きく異なる性質の化合物であることが分かった。この傾向は有機分子と有機金属分子の本質的な差異を反映したものだと考えられる。 高周期14族元素シクロブタジエンジアニオンおよびビシクロ[1.1.0]ブタン2,4-ジアニオンは、分子内に2つの負電荷を有することから容易に類推できるように、結合形成反応に利用できる。そこで様々な求電子試剤との反応を行った結果、不飽和結合をもつ環状分子、多環式化合物、13族元素/14族元素ハイブリット型分子等といった、他の方法論では合成困難であると思われる分子構造でさえ効率良く合成できた。現在、環状ジアニオンという特性を活かした新規合成法の開発にむけて研究を進めている。
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Research Products
(5 results)