2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550045
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
植村 元一 京都薬科大学, 薬学部, 客員教授 (90047241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神川 憲 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教授 (40316021)
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Keywords | 面不斉アレーン金属錯体 / 不斉Heck反応 / カルベン錯体 / 環化反応 |
Research Abstract |
面不斉アレーンクロム錯体は有機合成上重要な化合物であり、これらを光学活性体として得る反応の開発は興味ある研究課題である。面不斉アレーンクロム錯体を得る最も一般的な方法は、ジアステレオマーに変換し光学分割する方法であり、触媒的不斉反応で得る方法は非常に少ない。芳香環上、2,6位にブテニル基をもつクロロベンゼンクロム錯体に、キラルホスフィン配位子存在下パラジウム触媒で不斉Heck反応を行うと、高収率、高不斉収率で面不斉を有するインダンクロム錯体を得た。 面不斉アレーンクロム錯体を不斉源と用いて以下の二つの不斉反応を行った。まず、面不斉アレーンクロム錯体を有するα,β-不飽和カルベンクロム二核錯体にアリルアルコキシドを反応させると、α-アリル-β-フェニルプロピオン酸エステルを高い光学収率で得た。本反応はカルベン金属の[1,3]-メタル移動後、[3,3]-シグマトロピー転位が起こっている。対応するα,β-不飽和タングステンカルベン錯体に同様の反応を行うと、α-アリル-βヒドロキシ-β-フェニルプロピオン酸エステルを高収率、高光学収率でえた。本反応の特徴は、強い塩基性条件下でもエステル基のα-位でのアリル基がラセミ化せずに高い光学純度で生成したことにある。 次に、α,β-不飽和カルベンクロム錯体に、Ni(cod)_2触媒存在下アルキンを反応させると、立体選択的に[3+2+2]環化反応が進行し、シクロヘプタトリエンクロムトリカルボニルを置換基としてもつアレーンクロム錯体を高収率でえた。本反応は、二分子のアセチレンが反応し、カルベン錯体のオレフィン部とでシクロヘプタトリエン環が形成されている。反応生成物は、芳香環とシクロヘプタトリエン環にクロムトリカルボニル基が配位しており、二つのクロムが配位した環のそれぞれに特徴的な反応が起こり、官能基の導入がおこり有用な有機化合物に変換できた。
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Research Products
(4 results)