2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子素子を用いた生理活性物質の超効率的精密合成
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17550049
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 誠二郎 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (10307712)
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Keywords | シリルケテン-N,O-アセタール / 2-メトキシ-4-ピロン / アクチノピロンA / 遠隔不斉誘導反応 / 全合成 |
Research Abstract |
効率的な合成を実現するためには、化合物の部分構造の量産可能な合成法の確立のみならず、各部分構造をいかに速やかに繋げるかということが重要となる。この課題に答えるべく、著者らは強力な抗ピロリ菌活性を示すアクチノピロンAの収束的不斉全合成を達成した。室温にて半減期が2週間という本化合物を合成する際の問題点として、1)2-メトキシ-4-ピロンの合成、2)側鎖の立体選択的合成、3)アクチノピロンAの不安定さの原因と見られる8,9-不飽和ピロン部の構築、が挙げられる。これらの問題と以後の構造活性相関を考慮に入れ、全体を3つに分割した合成経路を考案した。 まず従来、低収率でしか合成されていない2-メトキシ-4-ピロンの大量合成可能な合成法を確立した。これは、入手容易な4-ヒドロキシ-2-ピロンに対して硫酸ジメチルと炭酸カルシウムを酢酸エチル中にて50℃で作用させるという、安価で簡便なものである。次に、不斉中心を含む側鎖は、著者らが開発したシリルケテン-N,O-アセタールの遠隔不斉誘導反応によって短段階で高立体選択的に合成した。この2つのセグメントを市販の試薬より2段階で導ける化合物によってつなぎ合わせるとともに、最終物の前駆体であり、なおかつ安定な9-メトキシ-7,8-不飽和ピロンを合成した。最後にこの前駆体を還元的条件下で反応させ、アクチノピロンAの全合成を達成した。またこれによりアクチノピロンAの絶対立体配置が決定された。
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Research Products
(1 results)