2007 Fiscal Year Annual Research Report
トポケミルミネセンスの開拓につながる熱分解発光型ジオキセタンの創出
Project/Area Number |
17550050
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
渡辺 信子 Kanagawa University, 理学部, 助教 (40291744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正勝 神奈川大学, 理学部, 教授 (10260986)
|
Keywords | ジオキセタン / 化学発光 / トポケミルミネセンス |
Research Abstract |
本研究は、単なる熱分解にもかかわらず、効率よく1重項励起分子を生成し発光する1,2-ジオキセタン化合物を設計、創出することを目的とし、さらには溶液中の熱化学発光のみならず固体状態での化学発光を検討し、トポケミルミネセンスの可能性を探るものである。フェノール性水酸基を有するジオキセタンは、強塩基による脱プロトン化によりCTICL(Charge-Transfer-Induced Chemiluminescence)分解が進行、効率良く1重項励起分子を生成して発光する一方、単なる熱分解では主に3重項励起分子が生成するため通常きわめて発光効率が低い。単なる熱分解でフェノール性水酸基の解離が進行するような骨格を設計すれば、熱分解でも効率良く1重項励起分子を生成し発光すると期待できる。平成17〜18年度ではその骨格としてベンゾアゾリル基を4位に有する3-ヒドロキシフェニル置換ジオキセタンを合成した。ベンゾアゾリル基の中でベンゾチアゾール置換体は、種々の非プロトン性溶媒中、加熱により極めて効率よく発光しその発光種が塩基誘発発光分解と同一であることが分かった。19年度ではこの熱分解での発光を詳しく調べるため、N-メチルピロリドン中、この熱分解および塩基誘発分解における活性化パラメーターを算出して比較した。その結果、熱分解ではその活性化エントロピーが大きな負の値を示し、塩基誘発発光分解系よりも遷移状態の自由度が制限された溶媒分子の強い水素結合に起因した今までにない溶媒促進分解(SPD:Solvent-promoted Decomposition)による発光系であることが分かった。また、固体発光の検討のため融点の高いジオキセタンの創出を目指し、発光種となる芳香環以外のジオキセタン骨格について検討を行なった。得られた高融点のジオキセタンについて固体塩基との混晶を生成したところ、結晶状態のままで発光することが分かった。
|
Research Products
(13 results)