2007 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の光還元触媒を目指したレニウム(I)二核錯体の合成と反応性の検討
Project/Area Number |
17550051
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
喜多 昭一 Hirosaki University, 大学院・理工学部研究科, 准教授 (80142834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 量 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20250590)
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Keywords | 二酸化炭素還元 / 光触媒 / 多核錯体 / 反応中間体 / DFT計算 |
Research Abstract |
レニウム(I)トリカルボニルジイミン錯体は弱い還元剤の存在下で、二酸化炭素を選択的に一酸化炭素に還元する光触媒として働くことが知られている。この様な反応の2電子還元触媒として、多核金属錯体が注目されている。本研究では触媒活性サイトとして、金属核を互いに近傍に接近し、二酸化炭素のような低分子を2つの金属核で捕捉できるように構造規制した新奇な配位子を設計し、これを用いて二核錯体の合成を試みた。 1. 配位子の架橋部分にアントラセン環やベンゼン環のような剛性な構造を組み入れ、これらの片側に2つの金属配位サイトとしてフェナンスロリンを共有結合で結合した。さらに、これらの架橋配位子を用いてレニウム(I)およびルテニウム(II)二核錯体を合成した。配位子および錯体は元素分析、質量分析等により同定・確認した。 2. これらの架橋配位子は興味深いことに室温で長波長部に幅広い発光を示した。これは配位子中で2つのフェナンスロリン環が接近しているため分子内エキシマーからの発光と思われる。また、二核金属錯体の紫外・可視吸収スペクトルや発光スペクトルなど各種分光測定や電気化学測定より、2つの金属核間には強い相互作用は働いていないことが分かった。 3. これらの配位子および二核錯体の結晶化を試みているが、現在まで成功していないので、構造については十分明らかでないが、密度汎関数法による構造最適化計算により両レニウム金属中心間は9.4〜6.5Åの距離があり、金属核間で二酸化炭素などの分子を挟み込むのに十分な距離があることが分かった。二酸化炭素の光触媒機能は対応する単核錯体と同程度で協同効果は見られなかった。以上の成果の一部は昨年の配位化合物の光化学討論会で報告した。また、学術雑誌への投稿も準備している。
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