2005 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激に応答して開閉する金属錯体細孔のメカニカルな分子吸着に関する研究
Project/Area Number |
17550054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近藤 満 静岡大学, 理学部, 助教授 (80254142)
|
Keywords | 化学刺激 / 結晶構造 / ニッケル錯体 / チャンネル構造 / 動的特性 / 構造変化 / 小分子吸着 / 化学スイッチ |
Research Abstract |
化学刺激に応答して構造を変化させる動的活性を示すニッケル錯体の合成と機能評価を行った。イミダゾールカルボン酸(ima)を配位子に持つニッケル錯体[Ni(ima)_2(MeOH)_2]を合成し、構造決定を行った。この化合物は、一次元型のチャンネル構造を形成し、さらにそのチャンネルは小分子の吸着に有為な0.6nmのサイズを有していることを見いだした。この化合物を120度で加熱乾燥させることにより、ニッケルに配位しているメタノールを除去した所、[Ni(ima)_2]の組成をもつアモルファスが得られた。この化合物はメタノールに接触することで、もとのチャンネル構造を再生することが明らかとなった。そこで、この化合物[Ni(ima)_2]のメタノールに応答した動的活性とともに、そのチャンネル構造再生に伴う小分子吸着活性を検討した。その結果、乾燥サンプル[Ni(ima)_2]はエタノール、アセトニトリル、などに対して吸着特性を示さないが、この系にメタノールを添加すると、これらの小分子の吸着が発生することが明らかとなった。メタノールの添加という化学刺激に伴い、チャンネル骨格を再生させ、そのチャンネルを利用した小分子吸着を実現した。このチャンネル構造の再生においては、エタノール、プロパノールなどのアルコールを用いても誘起することができず、つまり、この化学刺激は、アルコールの中で、メタノールに選択的であることが分かった。さらに、この乾燥サンプル[Ni(ima)_2]を水に溶かした後再結晶させることにより、[Ni(ima)_2(H_2O)_2]の組成をもつ水錯体を得た。このことから、乾燥サンプルは、[Ni(ima)_2」に配位可能な小分子に応答した化学刺激特性を示すことが示唆された。そこで、エチレングリコール(engl)や4,4'-ビピリジン(4,4'-bpy)などを乾燥サンプル[Ni(ima)_2]に接触させることにより、[Ni(ima)_2(engl)]、[Ni(ima)_2(4,4'-bpy)]の組成をもつ化合物が生成することを見いだした。
|