2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属原子間結合種を活性点とする混合酸化状態ネットワーク化合物の構築とその物性
Project/Area Number |
17550057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川村 尚 京都大学, 工学研究科, 非常勤研究員 (40026125)
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Keywords | 超分子化学 / 構造化学 / 機能化学 / 吸脱着 / 混合酸化状態 / 多核錯体 / ロジウム / ヨウ化物イオン |
Research Abstract |
伝導性をもつ多孔性錯体高分子を作ると、小分子の吸着に伴って、ホストの伝導度が変化すると期待される。分子性化合物に伝導性を付与するためのキーは混合原子価状態の錯体を合成することにある。そのような多孔性錯体高分子を作ることを目指し、金属原子間結合種として水車形ロジウム複核錯体を選び、中性複核錯体とそのカチオンラジカルから成る混合酸化状態の3次元ダイアモンドネットワーク構造化合物を構築し、その物性を検討した。すなわち、アセトアミデートにより架橋されたロジウム複核錯体とそのカチオンラジカル塩とヨウ化物イオンを水中で反応させ、ダイアモンド構造の骨格をもつ混合酸化物錯体を得た。伝導度の温度依存性は、この錯体が室温伝導度1.4×10^<-3>S/cm、伝導の活性化エネルギー160meVの半導体であることを示した。また、この錯体の室温における伝導度の圧力依存性を調べると、1気圧から1万気圧の範囲において、加圧とともに伝導度が増大し、1万気圧では5.0×10^<-3>S/cmであった。 この錯体を真空下で加熱すると、結晶水が脱離して多孔性物質となることが見出された。この脱水錯体はドライアイス温度において組成ユニット1モル当たり2モル余りの炭酸ガスを吸着する。元の含水錯体に較べて、脱水錯体の伝導度は著しく小さく、これに炭酸ガスを吸着させると吸着に伴って伝導度が更に減少する。また、脱水錯体のアセチレン吸着の際には伝導度がわずかに増大する傾向を示した。これらの現象は、多孔性物質による分子認識の伝導度による検出として興味深いものと考えている。また、あわせてカテコール配位子をもつ開殻電子構造のルテニウム複核錯体の幾何構造ならびにその特異な電子構造を明らかにした。
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Research Products
(1 results)