2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロジウム錯体の2電子移動反応を用いた光駆動型分子バネに関する基礎的研究
Project/Area Number |
17550063
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
篠崎 一英 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 準教授 (40226139)
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Keywords | 光スイッチ / 分子機械 / ナノマシン / 水素 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
ビス(2,2'-ビピリジン)ビスヒドリドロジウム(III)錯体は光照射することによって、水素を放出し、ビス,(2,2'-ビピリジン)ロジウム(I)を生成した。この反応は溶液中で進行し、錯体分子の構造が6配位8面体型から4配位正方形型へ変化するのに伴って錯体の示す色は、透明から紫色へ変化した。生成したロジウム(I)錯体は水素分子が溶液中に存在すると、水素を取り込みロジウム(III)錯体に戻り、可逆的な水素脱着機能を示した。メチル基を導入した5,5'-ジメチルビピリジンをもつロジウム錯体でも光-水素により同様な可逆的変化を起こすことが分かった。光照射時における水素の脱離速度は約140nsであった。また水素との結合速度は溶存水素濃度にも依存するが、測定容器内の水素ガス圧を1atmとしたとき1μs程度であることが分かった。これによりさまざまな置換基修飾したビピリジン錯体でも同様な構造変化が期待され、置換基修飾によってその構造変化速度を制御できることが分かった。配位子の対する置換基効果についてルテニウム錯体を用いた分光学的手法および量子化学計算から明らかにした。水素ガス吸着デバイスとして、ロジウム(I)錯体をガラス基板上へ薄膜化を使用して検証した。薄膜を作成した容器内に水素ガスを導入すると錯体薄膜の色は薄くなり、固体状態でも水素吸蔵が起こることが示された。この系に光を照射すると錯体の紫色が濃くなったことから、水素ガスを放出していることが示された。金属錯体の固体状態でのデバイス化についてはルテニウム錯体で検証した。薄膜化したルテニウム錯体では空気中の水分や揮発性有機化合物と結合することを明らかにし、ロジウム錯体でも同様に水素ガスを吸着することが支持された。
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