2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550066
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山田 康洋 東京理科大学, 理学部第二部・化学科, 教授 (20251407)
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Keywords | レーザー蒸着 / 鉄薄膜 / メスバウアー分光法 / 磁気配向 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
レーザー蒸発法により生成したFe原子をAl基板上に蒸着し、メスバウアー分光法による測定を行った。レーザー蒸着されたFe原子はAl基板と反応し、その反応は基板温度によって変化することが示された。10KのAl基板上に少量の鉄原子を蒸着した場合にはFeAlが生成するが、蒸着量が多い場合には面内配向した核スピンをもつα-Fe膜が生成した。293Kで生成すると内部磁場分布を持った成分が観測され、高温の573Kでは均一の環境をもつ成分が見られた。レーザー蒸着法は新しい薄膜材料を作るのに有用な手法であり、その核スピンの配向制御や、組成の制御の可能性が示された。また、蒸着中の基板温度が生成される薄膜の物性に重要な役割を果たすことが示された。 また、マグネタイトFe_3O_4とヘマタイトFe_2O_3を様々な温度でAl基板上にレーザー蒸着させて生成した薄膜のメスバウアースペクトルを測定した。高温の基板温度で生成した試料ではFe_<3-x>O_4の化学組成を持っているが、低温の基板温度で生成した試料では欠陥の多いFe_<1-x>Oあるいはアモルファスの薄膜であることわかった。Fe_2O_3をレーザー蒸発した場合でも、Fe_2O_3の組成をもつ薄膜は得られず、Fe_3O_4の組成を持つものが得られた。SEM像観察からは高温の基板温度では粗い面が生成し、低温の基板温度では平滑な面であった。XRDではFe_3O_4とFeOが確認され、メスバウアースペクトルの結果と一致した。化合物のレーザー蒸着によって組成の異なる薄膜が得られ、基板温度によって薄膜の組成を制御できることが明らかとなった。
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