2006 Fiscal Year Annual Research Report
プローブ光の偏向を利用する単一細胞の無損傷、非侵襲的な生死判定法の開発
Project/Area Number |
17550076
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
呉 行正 福井大学, 大学院工学研究科, 助教授 (70234961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 聡 福井大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60311685)
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Keywords | 細胞 / 生死率 / ビーム偏向 / 物質輸送 / 非侵襲 / キャピラリー電気泳動 |
Research Abstract |
現在、細胞の生死判別は色素の染色反応や、酵素反応に基づくものが殆どで、また細胞培養プロセスのモニタリングには、酸素や培地成分の濃度測定に限られている。また、細胞挙動の検討・解析には、細胞を固定したり破砕して細胞成分を抽出したりする手法でなされるものが大部分である。フローサイトメトリーによる解析も個々の細胞毎ではあるが、集団単位での解析となる上に、経時的な変化を追跡することは困難である。すなわち、個々の細胞ごとに生存状態で観察される技術はまだ確立されていない。 本研究は細胞膜内外の物質輸送に伴う濃度勾配の変化に着目し、その濃度勾配の変化をプローブ光の偏向で測定することにより、細胞膜内外の物質輸送過程のモニタリングを非侵襲的に行い、さらに光一本で細胞に何の影響も与えず、無損傷、非侵襲的な生死判定法を確立しようとした。本研究では自作した偏向顕微鏡を用い、培養皿に付着した生存ヒト肝臓細胞HepG2の偏向信号をモニタリングした。また死滅した細胞HepG2の偏向信号と比較したところ、生存細胞は時間とともに変化する偏向信号を示し、死滅した細胞は殆ど変化しない偏向信号を示すことを明らかにした。即ち、偏向信号から細胞は生存しているか死滅しているか判別できる。本法で測定した細胞の生死率は従来トリパンブルーを用いた染色法とほぼ一致した結果となった。 また、生存ヒト肝臓細胞HepG2に紫外線の殺傷効果も調べた。結果として、350nm前後の紫外線はこの細胞に強い殺傷効果を持つことが分かった。また、紫外線照射による細胞の死滅過程でのビーム偏向信号の連続モニタリングにも成功した。 また、キャピラリー電気泳動分析法で細胞死滅前後の培養液成分を分析した。結果として、生存時より、死滅した時培養液中に二つの成分の濃度が高くなったことが分かった。これは死滅過程で、細胞内から細胞外へこの二つの成分が流出したと考えられる。
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Research Products
(6 results)