2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚から発生する揮発性有機化合物の受動的測定法の開発
Project/Area Number |
17550084
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関根 嘉香 東海大学, 理学部, 助教授 (50328100)
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Keywords | 皮膚ガス / 非侵襲分析 / パッシブ・サンプラー / アセトアルデヒド / アセトン / 放散フラックス / 国際研究者交流 / イギリス |
Research Abstract |
近年、ヒト皮膚から発散するガス(皮膚ガス)の存在が明らかとなり、皮膚ガスを対象とする非侵襲分析がヒトの健康状態の診断に利用できる可能性が示唆されている。また皮膚ガスが居室臭気の原因となることも指摘されており、ヒトの健康状態および快適な室内空気質の維持・管理の観点から、皮膚ガスの測定は重要になると考えられる。そこで本研究では、微量な皮膚ガスを定量的かつ簡便に測定するため、皮膚ガス測定用パッシブ・サンプラーを開発し、ヒト皮膚からの放散フラックスの測定を行った。対象物質はアセトアルデヒドおよびアセトンとした。パッシブ・サンプラーは、ステンレス缶(38mmφ,8mmt)、捕集フィルター、PTFE製O-リングおよびバックアップ板からなり、捕集フィルターは36mmφセルロースろ紙に0.2%2,4-ジニトロフェニルヒドラジン-1%リン酸/アセトニトリル溶液を含浸、乾燥して調製した。サンプラーの開口部を前腕または手のひらに当て、皮膚表面から発生するガスを捕集した。捕集時間は30分〜1時間とした。捕集後、アセトアルデヒドおよびアセトン誘導体を高速液体クロマトグラフ法により定量し、放散フラックスを求めた。本サンプラーによる添加回収率は90%以上、検出下限はアセトアルデヒド0.85ng/cm2/h、アセトン0.48ng/cm2/hであった。また放散フラックスの拡散距離依存性はなく、皮膚内部のガス拡散が律速過程であると推定された。成人ボランティア60名を対象に皮膚ガス測定を実施したところ、アセトアルデヒド、アセトン放散量はともに手のひらよりも前腕部で高く、また女性よりも男性の方が高い値を示した。またアセトアルデヒド放散量は皮膚水分量の増加に伴い増加する傾向が見られ、アセトアルデヒドは汗腺由来であると考えられた。本研究により、皮膚ガスの多検体、同時測定を容易に実現することが可能となった。
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Research Products
(2 results)