2006 Fiscal Year Annual Research Report
全血中での使用を目指した新規吸光度検出型バイオセンサにおける発色剤の開発
Project/Area Number |
17550089
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中林 安雄 関西大学, 工学部, 助教授 (70172385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 脩 関西大学, 工学部, 教授 (70029643)
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Keywords | 血糖値センサ / ルテニウム錯体 / 発色剤 / 吸光度測定 / π-πスタッキキング / アンテナ効果 |
Research Abstract |
1.ルテニウム(III)錯体を発色剤とした血糖値センサ 吸光度検出型血糖値(グルコース)センサの発色剤として合成したルテニウム(III)錯体[Ru^<III>(NH_3)_5(L^+)]Cl_4(L^+:4,4'-ビピリジニウムイオン)は可視領域に吸収をもたない。一方、還元型の[Ru^<II>(NH_3)_5(L^+)]Cl_3はL^+の違いに応じて、580-680nmにモル吸光係数が10^4M^<-1>cm^<-1>オーダーの電荷移動吸収帯を有するので、(1)、(2)式の反応か glucose+GOx_<ox>→gluconolactone+GOx_<red>・・・・・・(1) GOx_<red>+2Ru(III)→GOx_<ox>+2Ru(II)+2H^+・・・・・・(2) らグルコースの吸光度検出が可能になる。ルテニウム(III)錯体とGOx_<ox>を含む中性溶液(pH7.0)中にグルコースを添加すると、瞬時に無色から青色に発色した。この際、1cmの石英セルを用いて測定を行ったところ、すべてのL^+において650-750nmの測定波長で5-45μMのグルコース濃度で検量線が直線となり、ヘモグロビンの影響を受けることなくグルコース検出が可能であることが示唆された。これらの成果は次の雑誌に掲載された。"Dipolar ruthenium-ammine complexes with 4,4'-bipyridinium ions accessible for both amperometric and colorimetric glucose sensors, Inorg.Chem.Commun.2006,9,935-938." 2.発色剤とグルコースオキシダーゼ間の電子移動反応の解明 昨年度(2)式の電子移動反応速度定数を求めたところ、L^+の違いにより、5.7×10^6-1.7×10^7M^<-1>s^<-1>と非常に大きな値であることを明らかにした。これは、ルテニウム錯体とGOx_<ox>間に静電的相互作用があり、さらにそれに加えて4,4'-ビピリジニウムイオンとGOx_<ox>の補酵素であるフラビンアデニンヂヌクレオチドのイソアロキサジン環との間に芳香環同士のπ-πスタッキングがあることが、^1H NMRと蛍光スペクトルから明らかになった。このような弱い相互作用の存在により、大きな電子移動速度定数をもつことを解明した。
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Research Products
(3 results)