2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒を用いるアレンおよび類縁体の合成反応の開発
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17550093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 正道 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授 (70301231)
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Keywords | アレン / パラジウム / 軸不斉 / 触媒的不斉合成 / 共役ジエン / 環状アレン / 不斉転写 / 立体選択性 |
Research Abstract |
研究代表者は従来までの研究により、アルデヒドおよびアリルシランから容易に得られる2-ブロモ-1,3-ジエンを基質として、パラジウム触媒により効率よく官能基を含むアレン類を合成する手法を開発している。また不斉パラジウム触媒を用いることにより、軸不斉アレンを高いエナンチオ選択性で得ることにも成功している。 従来の手法を応用することにより環状アレンを効率良く合成する手法を見出した。共役シクロアルケノンを原料とし、アルファ位をブロモ化した後、カルボニル基をピーターソン反応によりメチレン化すると2-ブロモ-3-exo-メチレン-1-シクロアルケンが高収率で得られた。これらの化合物を基質として、パラジウム触媒反応により9員環以上の環状アレンが高収率・高選択性で得られることを見出した。一方、8員環基質を用いた場合、対応する8員環アレンが生じたものの、生成物は熱的に安定ではなく室温で徐々に2量化した。また、7員環基質を用いた場合には反応は進行せず、未反応の基質が回収された。また不斉パラジウム触媒を用いることにより、9員環以上の大きさの軸不斉環状アレンの不斉合成にも成功している。環状構造を有するアレンにおいては、そのアレン部位の一方の面が架橋構造により遮蔽されていることから、アレンを基質とする変換反応における選択性を制御することが可能となることを見出した。実際、ケテンと9員環アレンとの[2+2]付加環化においては一つの異性体が特異的に得られた。同様の反応を類似の非環状アレンに適応した場合には4種類の異性体の混合物が得られた。 また、パラジウム触媒反応における重要な中間体であるパラジウム錯体を単離し、その立体構造をX線構造解析により決定した。さらに、単離した錯体の挙動、反応性に関する検討もおこなった。
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Research Products
(5 results)