2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケトンカルボニル基の活性化に基づく不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
17550101
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30135628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠川 隆博 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70300720)
|
Keywords | 不飽和ケトン / 不斉Diels-A1der反応 / アルドール反応 / キラルルイス酸 / ルイス酸触媒 / 不斉合成 |
Research Abstract |
既に確立されたかに見えるカルボニル基のエナンチオ選択的活性化に基づく不斉合成反応も多くの制約を抱えている。特に、使用可能なカルボニル化合物の構造面での制約は、実際これらの反応を複雑な構造を有する生体機能分子の合成に使用しようとする際に直面する深刻な問題である。例えば不斉Diels-Alder反応の場合、二座配位型ジエノフィル配位様式が単純で構造制御が容易な不飽和アルデヒドに研究が集中しており、不飽和ケトンへの反応は、選択性、触媒効率、並びにジエンの適用範囲の面で解決されるべき多くの問題を残している。本研究では、これまでの研究で明らかとなったオキサザボロリジノン(OXB)触媒の諸特性を活用することで、ケトンカルボニル基の活性化によって触媒される不斉合成反応の開発をめざした。 不飽和ケトンの不斉Diels-Alder反応:不斉Michael反応の研究で、非環式不飽和ケトンのエナンチオ選択的活性化に高い性能を示したOXB触媒が、不飽和ケトンの不斉Diels-Alder反応において高いエナンチオ選択性を示すばかりでなく、従来困難であったベンザルアセトンなどの低反応性ジエノフィルや、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンをはじめとする低反応性ジエンの反応を可能にする十分なLewis酸活性を有することが明らかとなった。また、OXB触媒の構造とエナンチオ選択性の関係から、OXB触媒によるカルボニル基の活性化モデルを提示した。 ケトンの不斉アルドール反応:アセトフェノンとシリルケテンアセタールの不斉アルドール反応が、OXB触媒の存在化、90%ee程度のエナンチオ選択性で進行することが明らかとなった。しかしながら、長時間の反応が必要な点と、副反応の抑制に課題が残っている。触媒の構造最適化ならびに添加剤の検討を次年度実施する予定である。
|
Research Products
(5 results)