2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550103
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
山邊 信一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00109117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50182481)
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Keywords | 有機化学 / 反応機構 / 計算機化学 / 水素1,5-シフト / Beckmann転位 / ベンジル-ベンジル酸転位 / 芳香族求電子置換反応 / エナンチオ選択的付加 |
Research Abstract |
1.有機合成で、多く利用されているペリ環状反応のうち、従来水素1,5-シフトが分子内で協奏的に起こると信じられていたシクロペンタジエンとシクロヘプタトリエンについて、2分子による環化付加、水素シフト、Cope転位などを経る多段階の経路について、B3LYP/6-31G*による計算で、詳細に検討したところ、2分子反応であることがわかった。 2.Beckmann転位反応は、有機合成でも重要な反応である。シクロヘキサノンオキシムから得られるε-カプロラクタムはナイロン6の原料として工業的にも重要である。濃硫酸、ベックマン溶液(酢酸、無水酢酸、塩酸混合物)などの酸触媒で進行する。最近、超臨界水中での方法も報告されている。ベックマン溶液のモデル溶媒分子としてH^+(CH_3COOH)_3およびグリーンな溶媒系である超臨界水のモデル溶媒分子としてH_3O^+(H_2O)_6を付加した。B3LYP/6-31G*による計算で、転位反応の機構を検討したところ、アセトンオキシムでは、σ-錯体を含む2段階経路で、(E)-アセトフェノンオキシムでは、H^+(CH_3COOH)_3中ではπ-,σ-錯体を含む3段階経路、H_3O^+(H_2O)_6中ではσ-錯体を含む2段階経路、シクロヘキサンオキシムでは、協奏的に進行することがわかった。 3.ベンジル-ベンジル酸転位反応は、炭素陰イオンの転位による、よく知られた有機反応である。本研究では、基質ビアセチルとビフェニルに水酸化物イオンと溶媒分子として^-OH+4H_2Oを付加し、B3LYP/6-31G*による計算で転位反応の機構を検討した。反応はOH^-付加、C-C結合回転、炭素陰イオン[1,2]-転位、プロトンリレーから成っている。通常は起こりにくい炭素陰イオン[1,2]-転位は、1,2-ジケトンのLUMOの性質から説明された。 4、ルイス酸による、エテントリカルボン酸エステル誘導体の分子内芳香族求電子置換-共役付加による環化反応やインドールの不斉触媒によるエナンチオ選択的付加反応について、B3LYP/lanl2dz, B3LYP/lanl2mbによる計算で、中間体の構造を決定した。これらの理論計算の結果より、反応の位置選択性、立体選択性を制御する因子を考察した。
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Research Products
(14 results)