2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550109
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田中 耕一 関西大学, 工学部, 教授 (10116949)
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Keywords | 超分子多孔体 / キラリティー / 固相反応 / 不斉合成 / 反応場 / シクロヘキセンオキシド / アニリン / 結晶構造 |
Research Abstract |
光学活性な1,1'-ビナフチル-2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジカルボン酸(1)を合成し、これを銅イオンと配位させることにより、新規なホモキラル金属-有機配位多孔体(2)を構築することに成功した。また、その単結晶X線結晶構造解析にも成功し、軸不斉を有するビナフチル基が形成するキラルな空洞に溶媒のMeOH分子が水素結合により取り込まれていることが判明した。その空洞の大きさは、およそ15Å×15Åのサイズであり、シクロヘキサン程度の大きさの分子を十分収容できることが分かった。 次に、このホモキラル金属-有機配位多孔体(2)を不斉反応場としての利用を検討した結果、エポキシシクロヘキサンに対するアニリン誘導体の付加反応が不斉選択的に進行することが判明した。たとえば、エポキシシクロヘキサンとアニリンを10モル%の2の存在下、無溶媒状態で室温で24時間反応させると、光学活性な付加生成物(3)が収率51%、光学純度51%eeで得られた。同様に、エポキシシクロペンタンとアニリンとの反応でも光学純度50%eeの付加生成物が得られた。このようなホモキラル金属-有機配位多孔体を触媒的な不斉反応場として用いた研究はこれまでほとんど類例がないものである。また、この触媒は反応生成物から単にろ過により分離・回収でき、再使用も可能であるので、無溶媒反応と併せて環境に負荷の少ないグリーンな有機合成法としてきわめて有望である。今後、不斉収率のさらなる向上を目指してあたらしいキラル配位子の開発と多種多様な不斉合成反応への応用展開を行う予定である。
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Research Products
(5 results)